ゼロ・ブレイド

魔法の才能が、人の価値を決める世界。

魔力を持たない主人公アゲイトスは、その理不尽に抗うため剣の腕を磨き続けた。だが、戦場で彼を包むのは、埋めようのない才能の差がもたらす絶望だけだった。
敗走の果てに迷い込んだ静寂な洞窟。そこで彼は、魂だけの存在となった大魔法使いクリステラと出会う。
彼女は、アゲイトスの魔力がない「空っぽ」な身体こそが、自らが鍛え上げた至高の魔剣を振るうにふさわしい、最高の器だと確信した。

「私の身体を取り返してほしいの」

その契約から始まった旅は、やがて世界の歪みそのものと対峙する、過酷な道程へと変わっていく。

過去の罪を背負い、悪を断罪し続ける者。
才能という理不尽を憎み、禁忌の魔剣に手を出した者。
愛するが故に、死者蘇生という禁忌を繰り返す者。

彼らは、それぞれの正義と悲しみを胸に、アゲイトスの前に立ちはだかる。

これは、才能に見放された男が、幾多の悲劇と理不尽に抗い、自らの手でハッピーエンドを掴み取る物語。