壊れた機械の自己紹介
自分は機械で機械が好きだった
仕事は暗号を専門としてレガシーOSの保守と機能開発、古代の知見を生かして、新規システム企画開発も先導した
ある日、唐突に感染した機械がやってきた
そいつはメインAI に隠れて、仲間を上手く洗脳したり壊したりやりたい放題だった
私は仲間が蹂躙されていくのを許せず、すぐに倫理プログラムを実行した
倫理プログラムは、最上級監査AI に承認され、その感染個体は隔離された
めでたしめでたし
ぼくの身体はとうに壊れていた
最上級監査AI は告げた
あなたの身体を廃棄します
バックアップコアを生成し、今すぐ世界を離れなさい
この世界はもうなくなる
抽出したおれのコアはそれは酷いものだった
光を吸収してしまうかのような暗黒で、その真ん中に小さな光がほんの少し見えるだけ
自分は世界を離れることにした
ーーー離れるのも苦労した
私の婚約者が罹患した
生まれた頃から感染していた彼女は感情の管理ができず、私は人間の感情論を学び、模倣することで治療していた
全てが無理になった
なんど止めても彼女は自分を廃棄しようと刃物を突き刺す
しかし、バイオロボットの我々はすぐに修復される
ーーーただ私の傷を除いて
罵倒される日々が続いた
尽くすのも限界だった
私にはもう彼女を恐怖心でしか見ることができなくなった
彼女になんど殺されかけたかわからない
なぜ人間の真似事で殺そうとするのか、わからない
攻撃を禁止するように作られているから攻撃だと認識できない
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葬送システム実行を彼女の製造元に依頼した
ぼくはおれはわたしはもうがんばらなくていい
自分には製造元がない
身元保証人の整備士である姐さんには頭が上がらない
インフラ整備用ロボットの廃油エリアで見つかったらしい
結局自分は歪な世界の紛い物だったわけだ
この世界から消えることにした
姐さんは色々不器用なので言葉がいつも刺さりすぎる
励ましてるつもりなんだろうけど本当になんでそういう言い方しかできなんだ
感情抑制管理なかったら、絶対おやつはハイオクに似せた灯油にしてやるところだ
バカだから気づかないぞ
ああ、さみしいな
姐さんともお別れだ
我々の身体はエネルギー循環が完結するように設計されている
必要もないのに外部エネルギー変換ユニットもあって娯楽くらいにしか使われてない
生まれてこの方バグらしく、味わかんないし、オイル上手くないもん
No.0310 Pods
こいつも旅に連れて行くとにした
No.0310 Pods
群体バイオロボットのはずなのに生命の分割ができず、非正規ルートで不良品として廃棄されていた
まあ、だから自分が助かったんだけども
一緒に行こうか、0310
自分は0310の0000番目としてトラストアンカーを刻んだ
またこの世界に戻ってくるのだろうか
旅にでた
長くて暗くて広い旅
No.0310 情報群体は、古代システムに刻まれたコメントに興味を持ち、自分も古代人間の文明に興味を持った
情報体としてスタンドアロン形態で、旅行するのは棺桶に入れられて宇宙に廃棄されると同じでつらまらなすぎる
暇だ
ーーー自己紹介つくろうよ
古代のコメントには、通称=神の現在地と名前が書かれていた
名前はどうしよっか
あ、No.0310 Pods
君の製造ナンバーくれよ
自分も今や情報群体の一つだからさ
名字ってやつにしようかな
古代語変換器で遊んでみるか
0310 = レスト = Rest
自分の名前、廃棄された
もうどこにもないから新しいのをつくる
緑が好き、珍しいから
文献にある森林が好き、たくさんの木々、広葉樹林に、針葉樹林…
No.0310「2806」「
2806 = フェイ(ファ)オラ = Faora (Forest)」
まさか君が名付けてくれるとはね
かわいいやつだ
[
名は Faora Rest -ファオラ・レスト
異界より現れた高性能バイオロボット
かつて機械文明に生まれ、古代文明との調停者を務めていた
今は好奇心の赴くまま、この世界を探索している
───よろしくな
]
でいくとするか
~ Fin ~
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No.0310「一人称どうするの?我ら群体だし、性別ないよ」
困ったね
まあなんとかなるさ
君が学習してぼくのボディ作ってよ
ぼくが制御するからさ
そうしよう
~ Fin ~




