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旅立ちの日に

作者: Maria

立春ひと月を経ち、私たちは今旅立ちの日を迎える。

三年前のあの日と同じように、同じ制服を着た私たちが一斉に礼をする。





同じ顔、同じ制服のはずなのに、見慣れた仲間たちが今日は何故だか、見知らぬ顔つきで真っ直ぐに前を見据えている。





短いけれど長かった、みんな共に過ごした毎日の中で、少しずつだけどみんな立派に大人になっていた。





三年前の春、期待と不安を胸に足を踏み入れた教室は、キラキラの希望で満ち溢れていたっけ。

窓の外では桜の花びらが、始まりの日を舞う。





「はじめまして。」

この一秒ほどの短い言葉に一生のときめきを感じることがある。





新しい学生生活に教室、そしてかけがえのない仲間たちとの素敵な出会い。





勉強に友情に、そして青春の恋。

たくさんの時間(とき)を共に過ごした。

恋をして笑って泣いて傷ついたりする。

もしかして、もう二度と人を好きになることできないんじゃないか、なんて落ち込んだりもして。





そんな時の先生からの素敵な言葉、きっと忘れない。

「涙は人間の作るいちばん小さな海です。その大海原をどうか恐れることなく泳いでいってほしい。つらくても、たとえ溺れそうになったとしても、泳ぐことを決してあきらめないでほしい。いつの日かきっと海よりも深く、空よりも高く君たちを、そのままの君を受けとめてくれる人に出会うから。」





誕生日には仲間からの素敵な素敵なサプライズ!

「生まれてきてくれてありがとう。出会ってくれて、友だちになってくれて、毎日一緒に笑ってくれてありがとう〜!」





"ありがとう"

この一秒ほどの短い言葉に人の優しさを知ることがある。





人生は思っているより難しい。

苦しくて、悲しくて、どうしていいかもうわからない。

右も左も真っ暗で、上からは重い何かがおちてくる。

背中からは怖い何かが迫ってきそうで、下を向く。

毎日、毎日がただ淡々と過ぎていってしまうようで、抜け出せない日々。





だけど人生はきっと思っているほど最悪でもないのだ。

そんな時は、(じんせい)(せんぱい)からの温かい想いが支えてくれた。

「少年よ、大いに悩め!」





何もかもうまくいかない時だって、悪いことだけじゃない。

友情の絆を再確認できたりもした。

「2人、3人に嫌われても、あと地球には60億人いるよ。」

そんな優しい友情(きもち)に、たとえ60億人に理解されなくても、いまここに私を想ってくれている人がいることを知る。





人生はアップで見ると悲劇だが、ロングショットで見れば喜劇だ。

まさにそのとおりだ。





できない、できない、できないよ。

何もかも持ってないって嘆いた夜には本を読む。

そこで新たな発見。

なんと神様からプレゼントがもらえるらしい。





それはどうやら毎日もらえるらしいけど、毎日生きなきゃもらえない。





新しく、明るい日─

だから毎朝ありがとうって伝えよう。

今日という一日の始まりに。

あぁ、神様。

今日も素敵なプレゼントをどうもありがとう!





三月四日─

今日私たちは別れの日を迎える。





素敵な旅立ちの日のはずなのに、どうしてだろう。

涙が溢れて止まらない。

それなのにここにあるたくさんの涙は、キラリと輝いていて美しい。

どうしてだろう。

卒業(きょう)の日の涙は、なぜこんなにも美しいの?





校長先生からの私たちへの最後の贈る言葉が、響き渡る。

「人間であろうと、何であろうと別れる時が一番美しいのです。朝焼けが、夜に別れを告げ旅立っていこうとするその瞬間が、人生で最高に美しい瞬間だと私は思っているよ。どうか素敵な未来へ、立派に旅立っていって下さい。卒業おめでとう。君たちに幸あれ!」





素敵な未来へ。








旅立ちの日に。

名言が載っていた本や名言についての詳しいことは、活動報告に書いてあるので気になった方は良かったらのぞいてみて下さい〜♪

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― 新着の感想 ―
[一言] 名言を言う人って、名言を言おうと思って言っているわけじゃないんだよね。 つくられたものではなく、自然なもの。 だから名言なんだよね。 元の言葉がどういう場面でどんなタイミングで使われたのかは…
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