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DGエンジェルズ あなたは、天国を目指せますか? ー地獄から脱獄した咎人と戦う魔法少女の生を追い求めるための戦いー  作者: 瀬名川匠
一章 転生!三人のエンジェル!! エンバーミング・リィンカーネーション!!

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第二十話 罪と罰と償いと

 警察が到着したのは、怪物がその動きを再開させようとした直前だった。

 怪物の出現の影響で、学校近くの道路で混乱が発生して、渋滞や多重事故が多発したが故に、あの交差点を曲がってから学校到着まで数十分もたってしまったのは、パトカーの中にいる人間たちにも、そして学校の中にいる人間たちにとっても不幸であるとしか言いようがない。

 しかし、無理もないことだ。あんなこの世のものとは思えないような怪物を目の当たりにして正気でいられる人間なんて数限られている。それによってパニックを起こした運転手たちを咎めるなど、普通の人間ができるわけないじゃないか。

 それにしても、おかしい。


「警部。あの怪物……」

「あぁ、さっきっからほとんど動いちゃいねぇ……」


 そう、さきほど彼らが目撃した場所から、怪物がほとんど身動きを取っていないのだ。ほとんど、とつけているのは確かに動いている場所があったから。主に、体の向きが学校の方に向いているという事。それに、手足の筋肉が拍動し、徐々に大きくなっていっているという事。すでにその体格は学校の大きさを超えて、五階建ての建物近くにまで迫ろうとしていた。


「このまま、動かないでいてもらいたんですけど……」

「いや、そりゃ望み薄だろうぜ」

「え?」


 これは、一種の勘のようなものだ。このままあの怪物がおとなしくしているとは思えない。きっと、あれは。


「ありゃ、力を蓄えてやがんのよ」

「力を?」

「あぁ……」


 確かに、言われてみれば発酵途中のパンのように膨らんでいる様子は。その中に力を蓄えているようにも見えなくもない。それに、目を凝らしてみると周りの空気、砂埃を吸い込んでいるようにも見える。

 むろん、空気を可視化することはできないのは分かりきっている。でも流れが怪物のほうに向かっている。まるで、排水溝に流れる水のように吸い込まれているのだと。


「なら、力を蓄え終える前に何とかしないと!」

「どうするってんだ?」

「え?」


 そういいながら、寺尾は胸の中にしまい込んでいるソレに目を移すと言った。


「こんな豆鉄砲じゃ、巨大な怪物を倒すなんて出来っこねぇ、ロケットランチャーやら戦車やら持ってこねぇ限りはな」


 もっとも、それで何とかなるような存在であればいいがな。とう、彼は心の中でつぶやいた。

 もしかしたら寺尾は勘づいていたのかもしれない。その怪物が、この世の存在ではないという事に。自分の持つ小さな小さな武器一つで太刀打ちできるはずがないという事に。

 見た目からして圧倒的な強さを持っていそうな怪物。正直、自分たち警察の領分なのかも不明だ。下手をすれば自衛隊の出番の可能性もある。

 そもそも、自分たちが追っていたのは付近で発生していた連続殺人事件の犯人だったはず。その怪物がそうであるとは言い切れない。というか、同じである方がおかしい。いや、同じで会ってもらいたくない。

 なんにしても、自分たちにはどうすることもできない。寺尾は、そしてほとんどの警察官は諦めの境地にあった。


≪う゛ォォォォォォォォォォ!!!!!!!≫

「!」


 瞬間、突然の咆哮。耳をふさぐ警官たちと、そして学校の中にいる生徒たち。だが、その爆音を完全に防ぐことはできず、耳の奥にある脳をも揺さぶられ、めまいを起こす者が続出した。中には、その雄たけびに恐怖を感じ、脱力。座り込んでしまう者も。

 そして音波に負けたのは人間だけじゃない。窓ガラスもそうだ。


「きゃあ!!」


 グラウンドに面した何十枚もの窓ガラスが割れ、学校の中を走っていた少女たちを襲う。


「みんな! 立ち止まっちゃダメ! 早く動いて!!」

「で、でも……」


 生徒たちを先導していたリリの鼓舞に、少女の何人かは立ち上がろうとする。でも、多くの少女は立ち上がることもできない。恐怖が、彼女たちを支配していたのだ。

 脱力し、力を込めようとしても入らない。地べたにおろした手が、浮き上がることはない。たとえ、その先に生暖かい水を感じたとしても、その羞恥すらも頭に入ってきやしない。

 何とか立ち上がった者たちも、足ががくがくと震えて、歩くこともままならない生まれたての小鹿のよう。


「痛ッ……」


 壁に手をついて歩こうとしても、割れた窓ガラスの破片が手に突き刺さる。見ると、掌にできた傷からは赤い血が滴り落ちている。ソレを見たその少女もまた、うずくまり、立てなくなった。

 そして図らずも、その絶望感を増すかのように、一人の少女が呟いてしまった。


「ホコリ先輩があんな簡単にフッ飛ばされて……きっと、私たちもあんな風になるんだわ……」


 と。彼女たちは見てしまったのだ。ホコリが、自分たちの尊敬している≪三人の女帝≫の一人が、剣の風圧で飛ばされていくのを、彼女たちは。

 そんな姿を見せられたら、絶望に沈むのも当然のことだった。

 一番信頼していた人を失った絶望。

 身体に負った傷。

 そして、徐々に迫ってくる怪物という恐怖。

 もう、彼女たちが立ち上がることはできなかった。

 その中で、リリは一人考えていた。

 この状況。自分だったら何とかできるかもしれない。しかし、もし彼女たちの前で自分の≪正体≫をばらしてしまったら、きっと―――。

 どうすればいい。どうすれば。


「死にたくない、死にたくない、死にたくない……」


 恐怖が、灰色の曇天を心の中に映しているかのように学校を包み込んでいた。

 絶望。

 狂気。

 狂乱。

 懺悔。

 後悔。

 悪夢。

 災い。

 今、自分たちが感じているこの心の傷は、果たして本当の物なのだろうか。この目の前の惨状は、現実の事なのだろうか。そう、夢だ。これは、全部夢。そう思いたかった。現実逃避したかった。

 そんな少女たちの、儚い防衛本能。

 それから生まれた。生きたいという願い。

 誰かに助けてもらいたいという、浅はかな他力本願。

 有象無象の思いが、天に届くことはない。


「え?」

「なに?」


 故。


「なんだ!?」

「あれは……」


 奇跡の光は、地上から。

 突如として、グラウンドの弓道場のある建物の前から、一筋の光が立ち上った。

 光は、灰色の雲の中にうずまるように消え、そして雲の中で爆発が起こった。


「ッ、この世の終わりかよ……」


 そう、寺尾は感じていた。

 でも、違う。むしろ、女性警官には、なにか違う物に感じていた。


「いえ、あれはむしろ……希望、じゃないでしょうか?」

「なに?」


 何故、そんなことを考えたのかはわからない。でも。感じたのだ。彼女、≪城道レイナ≫には。


「そう、あれは希望の光……私たちの世界を照らしてくれる……」


 天からの、贈り物。


 その時、雲に巨大な穴が開いた。その先には、青空があるはずだった。

 でも、違う。そこから差し込むのは黄金の光の筋。まるで、天国へと続く階段のように神々しく、そしてきらびやかに見えるその光の筋。

 これが、希望でなくてなんというのか。

 そして、光の中を≪二つ≫の光弾が落ちてくる。当然それは、≪三人≫を包み込む神秘の光。

 その光が、地面に落ちた瞬間、はじけ飛んだ。

 光の弾から現れたのは三つの人影だった。


「我、汝の罪を暴く者」


 一人目。神に祈りをささげる修道士のように片膝をつき、両手を組み合わせた黒い天使を思わせる衣装の少女。ウエディングドレスのような長いスカート、身体に纏わせているフリフリのレースの服、膝下まであると思われるロングブーツ、口紅、アイライン、そしてその背中の左側にだけ付けている翼に至るまですべてが黒で統一された者。しかし、唯一髪だけは目に刺さるくらいに光り輝いているピンク色のロングヘア。

 少女、生前≪福宿来求≫と名乗っていた少女は、閉じていた目をゆっくりと開けて言う。


「クライムエンジェル」


 と。


「我、汝の罪を裁く者」


 もう一人、クライムエンジェルとほぼ同じ衣装を着た存在。違うところ言ったら、翼がこちらは右側にだけしかついておらず、また髪色が海のように透き通る青色の長いツインテールであるという事。

 少女、生前≪不破誇≫と名乗っていた少女は、閉じていた目をゆっくと開けて言う。


「パニッシュエンジェル」


 と。

 二人は、同じ光の弾から生まれて来た。だが、もう一人は違う。

 一人だけ単独で光弾の中から、二人の背後に降り立った存在。


「我、汝に償いを求める者」


 この少女は、他の二人とは違う。純白のローブに身を包んでいた。

 少女は、ローブのフードをはぎとる。すると、その下にはこれまた純白の、腰辺りにまで長く、そして腹囲の三倍はあろうかという幅の毛量の髪が隠れていた。

 メイクも、口紅、アイライン等全てが白で統一されている。服は他の二人とは違い、上は純白の修道服―胸の谷間部分が大きく開かれている―にショートスカートで、靴もまた太ももから足首まで素肌が見えるようなウェッジヒール。正直、純白なその衣装とは裏腹に一番露出が高く破廉恥なのは彼女であると言えるかもしれない。

 少女、≪城道楽楽≫と名乗っていた少女はこれまた他の二人とは違い、立ったまま祈りをささげるポーズをして言う。


「シスターアメンド」


 と。

 三人の名乗りが終えるのを待っていたかのように、漂っていた光は拡散。そして、彼女たちは声を合わせて言った。


『われら、DGエンジェルズ』


 最後に、≪クライムA≫≪パニッシュA≫そして、≪Sアメンド≫が順番に言った。


「清算できぬ汝の罪」

「今ここに、我らが罰しよう」

「さぁ、償いなさい」


 ここに、トガニンを、そして罪人を裁くエンジェルが誕生したのだった。

 そして、Sアメンドがゆっくりと目を見開いた。その先で、怪物は自分たちを、ただただ見つめているだけだった。

 彼女は、不思議と笑みをこぼしていた。これから始まる狂気の戦いを前にして、まるでソレにワクワクしているかのように、奇妙な笑みを、浮かべて、立つだけだった。

 曇天の空は、金色の空へと、姿を変えていた。


第一章

転生!三人のエンジェル!!

エンバーミング・リィンカーネーション!!

ララ「ついにエンジェルになれた私達! って、あれ? ライクさんは?」

ホコリ「あぁ、さっき宇宙に飛んでいったわ」

ララ「あぁそうですか、って宇宙!?」

ライク「いやぁ、地球は青かったってほんとだね」

ホコリ「早いお帰りね」

ララ「でも、私達本当に戦えるんでしょうか……」

リリ「不安なのはわかるけど、今にもトガニンに襲われそうな子供が二人いるわよ?」

ララ「えっ!」


次回 DGエンジェルズ

死の恐怖!

ジャッジカル・ハンキング!!


それでも、あなたは天国を目指せますか?

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