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【沼田波が殺害された日のこと】


「みきー。今日も部活疲れたー」

「それなー。今日も柚にイライラしたわ。何でついてくんのあいつ」

「うちらと一緒に居たいんだよ。大目に見てあげなって。なーみ」

 部活帰りで、時計の針は7時を過ぎている。日が沈んでどんどん暗くなる時間、逢魔時に二人は歩いていた。

「今日さ、流星群くるらしいよ」

「え? 美記ってそういうの好きなん?」

「好き」

「えー、意外。笑える」

「笑うなし。見て行こ! せっかくだしさ! うち、流星群がよく見える場所知ってるんだ」

 二人は、薄暗い中、歩いて行った。

「着いたー!」

 二人は20分くらい歩いただろうか。辺りはいつの間にか暗くなっている。空を見上げると、たくさんの星がキラキラと輝いていた。

「こんな場所あったんだー! きれいだな」

 波は、瞬く星空に感動している。

「でも、一歩踏み外したら真っ逆さまで、落ちて死ぬな」

 二人の足元は崖だった。崖は20メートルくらいあるから、落ちたら確実に死ぬだろう。

「波さ、私の彼氏とったでしょ?」

「え、なんのこと?」

「とぼけないで。私が彼に振られた後、すぐに波と付き合ったの知ってるんだから」

 波が急に笑い出した。真っ暗で、顔はよく見えないが、波の笑い声だけがこだました。

「美記が彼との惚気話しているのが許せなかったのよ。嫉妬っていうのかなこれ。だって、彼と美記が付き合う前は、私が美記の一番だったじゃん。それが付き合った途端、私との付き合い悪くなるから。だから、彼にあなたの悪口言って、私と付き合うようにアタックしまくった。そしたら、彼、ほいほいついてきちゃって。笑える。

 でもそのおかげで、今みたいに二人でまた仲良く星空見えてるんだし、結果オーライじゃない?」

「波、私にあなたは必要ない。私に必要なのは彼なの」

 一つの黒い影が崖下へと落下していった。

 

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― 新着の感想 ―
[良い点] Twitterフォロー頂いていたので読ませていただきました。 いじめ問題は色々と考えられますよね。 自制出来ない人間が悪いのはそうなんですが、自制する方法をどう学び、どう伝えるべきなのか。…
[良い点] 興味深い手記がならび一気に読んでしまいました。 不愉快な文言や人間の内面がまざまざと表されており目が離せませんでした。 この気持ち悪さがクセになります。 [気になる点] 趣旨とずれた意見だ…
2021/03/05 01:23 退会済み
管理
[良い点] インタビュー形式(?)で描かれていて、新鮮でした。また、一話一話が簡潔で読み易かったです。 [一言] RT企画から来ました。感想もらえたので、読み合う形になりましたね。 これからもお互い頑…
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