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兄の自立

作者: LiN

 これは、私立の全寮制の男子校に通った兄から聞いた話です。


 兄は母への依存が強く、服も下着も、すべて母が選んだものを身につけていました。中学入学までは母と一緒にお風呂に入り、一緒の布団で寝るという甘えぶりでした。母に怒られるようなことがあるとひどく取り乱してしまい、兄が小学五年生の時に母に怒られ、家のリビングで立ったまま失禁してしまったのを見たことがあります。


 全寮制の中学に入学してすぐは、排泄の失敗をしてしまう子がいたそうです。12、3歳の男子とは言え、初めて親元を離れて暮らす不安や、今までになく厳しい環境に晒され、おねしょやおもらしをしてしまう子が何人もいたそうです。


 お腹を壊してしまう子も多く、特に一年生が日中に大きい方の失敗をしてしまうことが多かったそうです。兄自身もお腹が弱い体質であったためか、入学後はじめての試験中に我慢できず、席に座ったまま下痢を漏らしてしまい、その夜、泣きながら母に電話をかけてきました。


 また、最初の夏の帰省時、兄が学校に戻る前の日に私たち家族と外へ出掛けた際、兄のお腹の具合が悪くなり、家に戻る途中で下着を汚してしまったことがありました。家にいた頃には大きい方の粗相などしなかった兄が失敗し、母に後始末をしてもらっている姿にショックを受けたことを覚えています。


 あとから聞いた話では、その後も中学生の間に数回、兄は寮や学校で、大きい方の失敗をしてしまったそうです。


 寮で朝、トイレの個室前で順番を待っている時に。

 一年生の冬、起床後に寒い寮のトイレで順番を待っている時に我慢できず立ったまま漏らしてしまい、寝間着を汚してしまいました。トイレにいた上級生が後始末と着替えの手伝いをしてくれ、そこにいた他の生徒への口止めもしてくれました。


 校外学習の帰りのバスの中で。

 二年生の梅雨、帰路でバスが渋滞に巻き込まれてしまったためにトイレに寄る機会を持てず、シートに座ったまま漏らしてしままいました。おもらしを言い出すことができないまま座り続けていましたが、においがバスの中に充満し発覚しました。その後バスがパーキングエリアに入るまで後始末もできず、漏らしたままの下着の中が大変気持ち悪く、またにおいに耐える級友に対して大変申し訳なく思いながら過ごしたそうです。


 体育の授業中、マラソン大会の練習で走りながら。

 二年生の秋、校外のコースを走っている最中にお腹が痛くなり、痛みに耐えながら走っていたものの、耐えきれず走りながら漏らしてしまいました。下着や体操服のショートパンツから便があふれ出してしまう中、ゴールまで走りきったそうです。学校に戻った時には、ふとももからソックス、シューズまで便が広がり落ち、どろどろに汚れてしまっていました。


 交流会の打ち合わせのため、女子中学校への訪問時に。

 三年生の春、生徒会に入っていた兄は他のメンバーと交流会の打ち合わせのために女子中学校を訪問しましたが、緊張のためか打ち合わせ中にトイレに行きたくなってしまったそうです。しかし女子の前で言い出すことができず、そのまま漏らしてしまいました。女子校の生徒会の一人に保健室に連れていってもらいましたが、男子用の着替えがなく、仕方なく保健室にあった女子用の下着と体操服を履いて打ち合わせの場に戻りました。兄を保健室に連れて行ってくれた女子が「慣れない場なのでしょうがない」と慰めてくれたそうで、兄はこの女子と文通を始めたそうです。


 寮や学校で、他にも失敗をする生徒はいたものの、兄ほど大きい方の失敗を重ねてしまった生徒はいなかったそうです。

 自身の失敗を他の生徒からかわれることはたまにあったものの、大半は触れないか、励ましてくれたそうで、周囲の人間に恵まれたと兄は言っていました。


 その後兄は同じ学校の高等部に進学し、バレーボール部で厳しい練習に耐え、三年生では主将になり、全国大会にも出場しました。兄の中学時代の失敗の数々は、彼が高校に進学してから聞かされたものです。女子校で兄が失敗した際に世話をしてくれた女生徒と兄は文通を続け、現在は同じ大学に通い、交際しているそうです。

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