第7部分 名付け
ー・ー・ー
「そういや、君の子供の名前は何にしたんだ?」
「知りたいのか?」
「なんでそんな勿体無ぶるんだよ。」
「教えてくれてもいいだろ?」
「別にいいじゃないか....」
「で....どんな名前なんだ?」
「オレグ・ウラジミロヴィチ・ペンコフスキーだよ。」
「ほう....いい名前じゃないか。」
「いい名前だな。」
「そう言ってもらえて嬉しいよ。」
「どっちが決めたんだ?」
「確かに気になるな。」
「妻が決めてくれたんだ。」
「やっぱりか。」
「ああ、君が名付けたら大変なことになりそうだしね。」
「なっ!ちょっ!それはひどくないか?」
「なんかその辺は疎いんじゃないかと思ってね。」
「俺も思った。」
「それを言ったらお前ら2人も一緒だろ?」
「「ぐ....」」
「妻と長い間、我が子が生まれる前から相談して決めたんだ。」
「そりゃ大変だったな。」
「大変そうだなぁ〜」
「大変というよりも、むしろ楽しかったぞ。」
「そうなのか?おれらには理解しかねる領域だな。」
「そうだな。」
我が子に名前をつける事。それは、我が子に一生寄り添って行く名前なのだから慎重に考えなければいけない。
これは子どもを持つ親にしかわからない事だろう。
「そうか....」
「ああ。だがその子には、名に恥じぬ生き方をして欲しいな。」
「そんなことよりも元気に育ってくれたらいいよ。」
「無欲だなぁ〜」
「親が望むのはそれだけだよ。言うならば、いつか親孝行をしてほしいくらいかな。」
「どれだけ先の話だよ。」
「お前だって、もしかしたら内戦に駆り出されて戦死するかもしれないだろ?」
「その時はその時だ。」
「....長生きすることを望むならば後方に身を引いたほうがいいぞ。」
「許されるのか?」
「お前が決める事だ。」
「はぁ....」
「ため息をつくなよ。」
「幸せが逃げるとでも言いたいのか?」
「ああ、そうだ。ため息なんてついていると、せっかく掴んでる幸せが逃げるぞ?」
「不吉なことを言うなっ!」
「そこっ!無駄口をたちているならさっさと戻って書類の整理をしろっ!」
内戦に多くの兵士が駆り出されたせいで人員が不足しつつあるのだ。そんななかで、あまりの忙しさから少し逃れようとしていたのであった。
しかし、逃れようとする人を上官は、見逃さないだろう。
「「「すっ、すみません。」」」
「謝るならさっさと戻れっ!」
「「「わかりました!」」」
ー・ー・ー
「ヒャ〜....おっかねえな。」
「急に怒鳴られるから心臓がとあるかと思ったよ。」
「怒られた原因はこっちにあるけどね。」
「まぁ....そうなんだけどさ。」
「何か言いたいことでもあるのか?」
「言いたいことがあればはっきり言ってくれよな。」
「やっ、やっぱりなんでもないよ。」
「言ったほうが楽になるぞ。」
「なんだよ....」
「それよりもさっ!今日のノルマを早く達成してしまおう。」
白軍と、列強の支援軍との許可書面などの処理しなければならないことが山ほどあるのだ。
あまりにも多いため、最も重要な書面から処理をしている。
その作業に追われているのだった....
「そうだな!」
「その方が気が楽だし。」
「それに、ほぼ上官が干渉してこなくなるからな。」
「頑張りますかっ!」
「「お〜!!」」
ー・ー・ー
「あなた、この子の名前はどうするの?」
「う〜ん....そうだなぁ。何かいい案はあるかい?」
「わからないから聞いているのよ?」
「俺だってこんなことをするのは初めてだからなぁ....」
「お互い初心者だからね。」
「....思いついたんだけど、....なんてどう?」
「悪くないな。」
「貴方にはないの?」
「....なんてどうかな?」
「....やっぱり貴方にはセンスが足りないわね。」
「そうか....」
ー・ー・ー
「これでいいかしら?」
「いいと思う。」
「今お腹の中にいるこの子の名前は、オレグ・ウラジミロヴィチ・ペンコフスキーね。」
「元気に生まれてくるんだぞ〜」
「頑張らないとね。」
「頑張ってくれよ。」
「ありがと。」
鼻風邪が辛すぎるぅぅぅぅぅぅぅっ!!!