北の山の調査
本日二話目です。
次の日俺たち三人は朝食を取り、しっかり準備をした後北の山に向かうことにした。
モルも家族に仕事を任せ、こちらに参加してくれることになった。
「これは町の任務だから、帰ってきたらモルに金は払うとグルガさんが言っていたぞ」
「そうッスか、それはありがたいッスね。ロイドの手助けが出来るように頑張るッスよ」
「アタシも少なくとも道案内は出来るよ。それじゃあ行こうか」
ヒルダを先頭に北の山に向かう。麓までの道は魔物はそれほど出ないので三人でたわいのない話をして歩く。
「昨日初めて訓練に参加させてもらったッスけど、ヒルダもかなり強いッスね」
モルは感心したように言う。
「アタシこそ、モルの強さに驚いたよ。まだお互い兄上には届かなかったけどね」
「マーキスが強いのは知ってたッスから。ただオイラがマーキスとも戦えるようになった事が自分でも驚いてるッスけどね」
二人とも俺との訓練でかなり成長したからな。中々実感はわかないだろうが二人の努力あってこそだな。
「アタシは訓練を続けて兄上に勝ちたい!そして六神将に取り立ててもらうんだ」
「オイラはロイドのそばに居ても足手まといにならないくらいに強くなりたいッスね。胸を張ってロイドの隣に立ちたいッス」
その会話を聞いて俺はなんだか嬉しい気持ちになる。
「二人とももっと強くなれるさ。王国最強のおれが保証するよ。それとモルはもうかなりの実力がある。友達として嬉しい限りだ」
二人はその言葉を聞いて笑顔でうなずく。
「ロイドに友達って言ってもらえて嬉しいッス。ロイドはオイラにとって大事な友達ッス!」
「俺にとってもそうだよ。モル」
◇
しばらくして山の麓に着く。確かに山全体から瘴気を感じる。
「ここからはいつ魔物が出てもおかしくない。準備はしておいてくれ」
ヒルダが俺たちに注意する。
「瘴気溜まりは多分だが、山の山頂の方の瘴気が濃いところにあるんじゃないかと思う。慎重に登って行こう」
山頂への道中、何度か魔物が襲ってきたが、それほど強くなかったので俺たち三人の敵ではなかった。
山頂に着くと、明らかにこれまでより強そうな熊のような魔物がいた。
「こいつは少し強そうだ!油断せずに行くぞ」
熊型の魔物もこちらに気づき襲いかかってきた。
まずは俺がその攻撃をしっかり受け止め、その間に左右から二人が攻撃を仕掛ける。
下にいた、魔物達よりはかなり強いが俺の防御を破るほどではない。
このまま俺が攻撃を受けつつ、二人に攻撃させるのが一番安全そうだ。
すると、戦力差を感じ取った魔物は逃げようとしてきた。逃がして別の場所で暴れられても困る。
ここは一気に片付けてしまおう。
「逃げられる前に仕留めるぞ!」
俺がそう声をかけ、三人で遠距離攻撃を放つ。
熊型の魔物は避けきれず全てをくらい、しばらくして動かなくなった。
「ふぅ、こいつ以外にはこの辺には魔物がいないッスね。」
「そのようだな、調査を続けるとしよう」
やはり山頂は瘴気が濃く、すぐに瘴気溜まりが見つかった。こんなに瘴気が固まっているのは初めて見る。
「ロイド、これが瘴気溜まりなんだね?」
「なんか嫌な感じがするッス」
確かにこれは禍々しいな。早速浄化の魔術をかけてみよう。
「じゃあ浄化をやってみるぞ。――浄化!」
魔術をかけると瘴気が少し小さくなるが、今の俺の浄化では消しきれないようだ。
「悔しいがここまでしか出来ないか」
俺は唇を噛む。
「でも、だいぶ嫌な感じが減ったッス。」
「そうね。これで魔物の勢いも弱まれば良いんだけどね」
リアラなら瘴気を全て消せたかもしれないがここにはいない。
また定期的に瘴気を弱めて行くしかないか。
「ある程度の成果はあった。これで今回の調査は終わろう」
なんとなくスッキリしないが、ひとまず町に戻ることにしよう。
◇
日が暮れる前に町に戻ることができ、今は三人でグルガさんに報告にきていた。
俺は調査で起こった出来事をグルガさんに説明した。
グルガさんはその話を終始笑顔で聞いていた。
「三人ともお疲れ様。その瘴気溜まりが一度の調査で見つかったのも、その勢いを弱めることが出来たのもかなりの成果だ。今日はゆっくり休んでね。」
「出来れば全て消し去りたかったんだが」
「ロイド君はそう思うかもしれないけど、瘴気を弱めることが出来たことがかつてない出来事なんだよ。これは本当にロイド君のおかげだ。そこは誇っていいと思う」
「そう言ってもらえるとありがたい。だが、これからも定期的に浄化をかけに行った方が良いかなと思っている」
「そうだね。そうしてもらえるとこちらも助かるよ。あとはこの後の魔物の襲撃の頻度や魔物の強さをしっかり調べていこう」
そうだな。このあとどうなるかでまた今後の対応も変わるだろう。
ひとまず今日はゆっくり休むことにしよう。




