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15.実家への恐怖

15.実家への恐怖


私は実家に入ることができない。

庭までなら行けるが、建物の中には入れない。

高校生まで暮らしたその家には、汚いと感じる記憶が沢山あって、今でもそれが消えないからだ。

別に、家が嫌いってわけじゃないが、脳が許可してくれない。

リフォームをするらしいけど、私には効果がないだろう。

一応長男だし、跡取りとしてと言われるが、どうしたらいいのかなんてわからない。

自分でも立場はわかっているが、わかっていてもどうしようも出来ないのが強迫性障害だ。


家の中には私の私物だって残っている。

その中には大切なものだってある。

嫌な思い出ばかりってわけでもない。


私は、その家が酷く汚染されていると認識してきた。

実際、強迫性障害の不潔恐怖をとっぱらっても清潔ではない。

家の中は散らかり放題だったし、父の行動は不潔だった。

床にこぼれた痰を足で拭って終わりだったり、キッチンの排水に詰まって醗酵し、ハエが飛び交うような生ゴミを素手でつかみ、その滴を床にぽたぽたと垂らしながら、扉を開けて移動するなんて姿を何度も目撃した。

母親が、祖母がトイレを使った後、壁に便が付着していたという一言を今でも覚えている。

そのため、自分の部屋以外は汚い場所で、手で触るなんてとんでもないことで、ドアの開け閉めは足で、鍵も足で器用に開けていた。

当然自分の足は汚いと認識していたから、今でも実家の勝手口をみると、当時の映像が鮮明に蘇る。

甦ると同時に、不潔恐怖も発生する。

便をする際は深夜全裸になって、床から浴室まで汚れたと感じてしまう足が直接床に触れてしまわないようにタオルをひいていた。

そういった、強迫観念や強迫行為がまだ鮮明に記憶に残っている。


そんな状態では私の脳はどうしたって許してくれないだろう。


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