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という、日常があった。
重たい足音が古いアパートの階段を登る音がする。
錆びついた階段がきしんで 塗装が剥がれ落ちる音。そんな午前10時。
笠原はいつものように聞いていたのだ、必ずこの時間に聞こえる 3つ隣の原口という女の足音を。
静かに自分の部屋のドアを開けた。
今目の前の親しい友人にいきなりコップの水をかけるとする。
きっと彼女は一瞬戸惑って でもなぜ私がこんな行動に出たか考えるだろう。
でも私は笑って謝るわけでもなく
うろたえるわけでもない。
そんなわたしを見てなんで?と聞くだろう。
でも私は悪びれることなくなんとなくと答えるだろう。
そこでようやく彼女は怒りを露わにしてわたしに感情をぶつけ、叫ぶまたは同じようにコップの水をかけてくるだろうか。
どこまでやれば怒ってくれるのかとわたしは楽しんでいるのだ。
という、妄想。