木戸 彩花
教室に入ると、既に何人かはそれぞれで盛り上がっていた。
でも、自分の世界に入り込み勉強している人もところどころいる。
そのうちの一人にアヤカちゃんがいた。
木戸 彩花。ぼくの片想いの相手だ。
黒い艶のある長い髪。上品な仕草。何でも容易くこなせて、真面目。
そのうえ、かわいくて、明るくて、性格が良い。
男女問わず優しくしてくれる。
ぼくに対してだって例外ではない。数少ない女子の友達である。
そんな絵に描いたようなスーパーガールのアヤカちゃんは、もちろん男子にモテる。
ウワサによると、玉砕した男子は沢山いるとか…。
きっと、ぼくが告白してもそのうちの一人になって終わりだろうな…。
…伝えないで後悔するよりはその方がずっといい。
ぼくは覚悟を決めた。
アルビノには学校内を探索してもらうことにした。
「あの、アヤカちゃん、ちょっといい?」
そばに寄り、声をかける。
「あ、マコトくん、おはよう」
ぼくの方を見て天使の微笑みで返してくれるアヤカちゃん。
「実は私も…マコトくんに話したいことが…」
え?何この展開。
何この展開
何この展開
アルビノに笑われてる気がする。
話をしようと向かった先は階段室。
うちの学校の非常階段は重いドアで閉ざされてはいるものの、いつでも出入りができるのだ。
ぼくとアヤカちゃん、二人っきり――。
「あ、ごめんね、マコトくん。どうしたの?」
「あ、あっ、いや…」
アヤカちゃんから主導権を渡してもらったにもかかわらず、しどろもどろになるぼく。情けない…。
「アヤカちゃん、先にいいよ」
ぎこちない笑顔で話の主導権を返す。自分から言うのが怖いのだ。情けないの極みだ。
「ありがとうね。あのね、マコトくん…」
ぼくの心臓が早鐘を打ち始めた。落ち着けっ!落ち着けってば!
「私ね…実は…」
うわわわわわっ!!心の準備がっ!!まだっ…
「隣のクラスのカナデくんのことが好きなの。それで、カナデくんと仲がいいマコトくんに手伝ってもらえたらなって…」
…何この展開。
ちょっとでも、いや、正直かなり期待していたぼくのドキドキを返してほしい。
アルビノが大笑いするさまが見えるようだ。




