日比野 明衣
このやかましいツインテールの説明をしなければなるまい。
コイツは日比野 明衣。
まぁ、やかましい。小柄で声が高くてキンキンする。
肩に付くか付かないかくらいのツインテールは、いつもメイに合わせて落ち着きなく揺れている。
「むぐむぐーっ!!(はなしてーっ!!)」
「あ…ごめん」
そういえばメイの口を塞いだままだった。階段室に着いたからひとまず大丈夫だろう。ぼくは手を離してやった。
「ぷはぁっ」
ま、ぼく的には口封じしておいたままの方が良かったんだけど。
「あのさ、なんで「ねぇねぇ!このイケメンさんは誰!?」」
ほらみろ、いきなり人のセリフをさえぎる。
「メイ…コイツが見えてるの?」
コクコクと激しく頷くせいでツインテールが暴れている。
「コイツはアルビノ。本人曰く、ぼく以外には見えないらしいんだけど…」
メイがきょとんと首を傾げた。
「わたし、アルビノさんのとこ見えてるよ??」
「…うん、そうみたいだね」
ぼくが新たな展開に困惑しているのをよそに、メイはアルビノの方に体を向けた。
アルビノはツインテール少女の期待の眼差しに、これからの展開を感じてたじろいだ。
「アルビノさんっ!!質問してもいいですかっ!」
「え、お、おう…」
半ば気迫に負け、アルビノがyesと言ったが最後。
メイのマシンガントークが炸裂した。
「なんで室内でコート着てるの?」
「髪白いし、眼赤いし、イケメンさんだし、外国の人なの?」
「もしかして転校生なの?」
興味を持った相手にはこうなる事がある。
可哀想にアルビノ。質問攻めにされてるよ…。
アルビノは質問に対して曖昧に答えている。
笑顔で対応しているつもりだろうけど、ぼくには苦笑いにしか見えない。
『キーン コーン カーン コーン…』
予鈴の音が聞こえると、よくやったと言わんばかりにアルビノの表情が開けた。
「また、あとで話しましょうか。今はとりあえず」
ニッコリとイケメンスマイルでメイを制した。
「…はぁい」
メイは物足りなさそうに階段室をあとにした。
メイがいなくなって少し嬉しそうな、ほっとしたようなアルビノ。
「アルビノの敬語初めて聞いた」
「紳士としてのマナー、だな」
あれ、ぼくには初めからタメ口だったよね???
しかもすごい剣幕でキレられた印象が強いんですが。あれ??
「あぁ…疲れた…」
こんなぼくをよそにアルビノがぐったりしている。
初めて会った人をここまで疲れさせられるものだろうか。違う意味でメイのすごさを感じた。
「…あ」
「どうした、マコト」
「一つ聞いていい?」
「一つだけな」
どうやらさっきの質問攻めに懲りたらしい。
本当はぼくも聞きたいことがたくさんあったけど、これ以上疲れさせたら可哀想だ。
「アルビノ、他の人には見えないんじゃなかったの?」
「そのはずなんだけどな。俺様だって予想外だよ…」
アルビノが眉をひそめた。
アルビノが予想外って…相当じゃないか?
そういえば、ぼくはアルビノについていろいろ知っていると思っていたが、メイがマシンガン質問していたときに気づいた。
メイのしていた質問の答えはぼくも知らなかったのだ。
これから知る機会はあるのだろうか。




