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第十六話 アサシンとの戦い

「みんな、覚悟は良いか?」

「愚問だな」


 カイが答える。

 他のみんなも頷く。

 俺たちはアサシンと対峙した。


 橋の上に一歩踏み込んだ瞬間、アサシンが動いた。

 まるで瞬間移動したかのような速さで俺の目の前に移動して、その手のナイフを振り下ろす。

 甲高い金属音。

 俺はナイフを剣で受け止めた。

 俺は両手に力を入れる。

 アサシンの一撃は重かった。


 そこで、背後から銃声。

 アサシンは後ろに跳んで俺から離れる。

 石橋に埋まった二つの銃弾。

 サクヤの銃だ。

 地面に着地したアサシンに追撃するカイが刀を振り下ろす。

 アサシンは体を捻ってそれを避ける。

 刀は地面を斬り、石の破片が激しく飛び散った。

 ユキの能力でカイの筋力は強化されている。


 間髪入れずに俺とシーナが両側から同時にアサシンへ斬りかかる。

 アサシンはそれを両手のナイフで受け止めた。

 剣を押す手に力を入れるがびくともしない。

 そこでアサシンはナイフを引くと俺たちを蹴る。

 吹き飛ばされる俺とシーナ。

 そのまま橋から落ちそうになるが、空中に出現したアイの結界を足場にして俺は橋の上へと復帰する。

 シーナも能力を使って橋の上に移動していた。


「……」


 無言で俺たちを見るアサシン。

 俺たちを同時に相手にしてアサシンは息切れした様子もない。

 そもそも疲れという概念があるのかもわからないが。


「ほんと馬鹿げた強さだわ」


 サクヤが顔をしかめる。


「手を休めるな。押し込まれるぞ」


 俺はアサシンに再び距離を詰めると、剣を斜め下から振り抜く。

 アサシンは両手のナイフを交差させて剣を受け止めた。

 押し合いをやめ、俺は剣を引いて後ろに下がる。

 逆にアサシンは前へ出て俺との距離を詰める。

 ナイフを振るうアサシン。

 そこでアイの結界が俺とアサシンの間に割り込むように出現し、ナイフが弾かれる。

 しかしアサシンは無表情のまま、結界に向けて再度ナイフを振るう。

 ナイフの先を押し付けられた結界が徐々にひび割れる。

 そして結界が割れた。


「っ!」


 遠くでアイが息を飲む。

 だが十分だ。

 体勢を整えた俺は、体を捻って剣を振り抜く。

 突っ込んできたアサシンもナイフを振るう。

 衝突。

 ユキの身体強化を終えた俺の剣がアサシンの片方のナイフを弾き飛ばした。

 ナイフが橋の下へと落ちていく。

 アサシンは腕ごと弾かれて後ろに体を逸らせるが、そのまま流れるような動作で体を捻って後ろ回し蹴りを放つ。

 大振りで隙だらけの俺は避けられない。


 そこで俺の前に出たカイが刀を抜いた。

 アサシンの足を切り裂いた。

 軌道を変えた蹴りは俺の鼻先をかする。

 アサシンはそのまま地面に手を付いて後ろに回転しながら距離を取った。

 すかさずサクヤが銃弾を三発放つ。

 アサシンは両腕を体の前に出し、顔と体を守る。

 銃弾はアサシンの腕に命中した。

 そこで背後に瞬間移動したシーナが大鎌を振り抜く。

 しかし鎌は空を切った。


「シーナっ、後ろだ!」


 鎌の刃の上にアサシンは立っていた。

 そのまま跳んでシーナへナイフを振るう。

 だが、紙一重のところでそのナイフも空を切った。

 再び瞬間移動したシーナが俺たちの側へ来る。

 その腕から血が流れていた。

 僅かにナイフをかわし切れなかったらしい。


「シーナ、大丈夫か?」

「はい……仕留めそこないました」

「いや、あれを避けるアサシンがおかしい」


 本当に馬鹿げている強さだ。

 だが、勝負にならないわけではない。

 アサシンを見る。

 その両腕と右足から血が流れ出ていた。

 アサシンもダメージは受けている。

 その事実のおかげで戦意を失わずにいられた。


「ちっ、まるで金属でも切ったみたいな手応えだ」


 カイが舌打ちをする。

 先ほどの一太刀でカイはアサシンの足を切断するつもりでいた。

 以前サクヤの銃を受けても生きていたこといい、やはり根本的な体の構造が違う。


「カイ、なんとかなりそうか?」


 俺は思わずカイに尋ねる。


「さあな――だが、相手にとって不足はない」


 そう言ってカイは僅かに口元を吊り上げた。


「……ああ、そうだな」


 その言葉に俺も微苦笑を返す。

 強い相手と戦える。

 こういうときこそ前向きに挑まなければならない。

 俺たちはそうだったはずだ。


「シーナも行けるか?」

「当然です」


 シーナは頷く。


「……二人とも心強いな」


 一人ではアサシンに勝てないかもしれない。

 だけど仲間と力を合わせればアサシンを倒すことができるはずだ。


「行くぞ」


 俺とカイ、シーナの前線組三人で同時にアサシンへと斬りかかる。

 アサシンは俺の剣を避けると、カイとシーナの刃も体を逸らして避ける。

 そして逆に俺に鋭い蹴りを放つ。

 俺は剣の腹で受け止めるが、衝撃で後ろに数歩よろめく。

 その間にシーナが、体勢を崩したアサシンに背後から大鎌を振り抜く。

 そこでアサシンは振り向き様に腕を出す。


「っ?」


 腕に食い込む鎌。

 血が溢れる。

 だが、アサシンは気にした様子はなく、逆の手でナイフを振り抜く。

 シーナの銀の髪がはらりと舞った。

 またも瞬間移動で何とかナイフを避けた。

 そこにカイが地面を滑るように突っ込む。

 アサシンがナイフを振るう。

 カイが刀を振り抜く。

 交差する二人。


「っ……」


 アサシンの肩から血が噴き出す。

 だが、そこでカイの体が揺らぐ。

 腹部から血が溢れていた。


「カイっ」


 そこでカイに気を取られたのが失敗だった。

 アサシンが俺に向かってナイフを振るう。

 遠くでフィーアたちの叫び声が聞こえる。

 切られた。

 そう思ったときにはすでに俺の胸元に鈍い痛みが走る。

 アサシンのナイフが俺を切り裂いていた。


「ユージ!」


 サクヤが銃でアサシンを牽制して引き離す。

 俺の前に結界が現れる。


「しっかりしてください、ユージ」

「いま治療します!」


 その間にシーナが俺を後方へと移動させると、ユキが俺の傷口に手をかざす。

 ユキの能力で傷を治してくれているらしい。

 しかし、痛みは引かない。

 徐々に痛みが激しくなっていく。


「ユージさんっ、死なないでください」


 ユキが必死に俺を治療する。

 シーナやアイも心配そうに俺の顔を覗き込んでいた。


「……俺は大丈夫だ。それより、サクヤたちのフォローをしてくれ」


 ここで手を止めてはいけない。

 アサシンを倒すまでは気を抜いてはいけないのだ。

 俺はアサシンの方へ視線を移す。

 そこで、俺は意外な光景を見た。


「――油断するとはまだ甘いな」


 カイがアサシンの背後に立っていた。

 刀を逆手で持つと、アサシンの肩口に突き立てる。

 これにはアサシンも予想外らしく、一瞬アサシンの眉がぴくりと動いた。

 しかしアサシンもすぐに反撃し、振り向き様にナイフでカイを切り付ける。


「ぐっ……」


 後ろに跳んで距離を取ると、左腕を右手で押さえるカイ。

 その左腕から血が流れていた。


「カイっ、大丈夫かっ?」


 俺は体を起こす。

 鋭い痛みが体を襲う。

 それでも立ち上がろうと力を入れた。

 カイのダメージは大きいはずだ。

 アサシンのナイフが少なくとも二回は深く入っている。

 ここで分断されるとまずい。

 カイのところへ行かなくては。


 しかしそこで、カイが刀を俺へと投げつけた。

 俺の真横に刃先が刺さる。


「俺に構うな、ユージ……お前はさっさとアサシンを倒せ」

「カイ、お前っ?」

「俺はこの程度じゃ死なん。ユージ、刀はお前に預ける」


 そこでアサシンが再度カイにナイフを振るった。

 鮮血が飛び散る。

 カイはそのまま橋から落下し、河に落ちた。


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