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記憶

 自分の記憶に疑問を持ったのはいつからだろう。

 眠るとたびたび夢で出てくる人々。

 彼らを見てなぜか懐かしく思う自分。

 そして夢の中の俺自身も、今の俺のようでこの俺とは若干違っていた。


 どこが違うのかはっきりとは分からない。

 しかし、そのときの違和感ははっきり覚えている。

 そこは俺の知る世界、『ユグドラシル』とまったく違う世界だった。

 科学の発展した世界。

 そこで俺は大きな機械に囲まれている。

 そんな夢をよく見る。


 自分ではない自分の記憶。

 まるで自分が体験したような感覚。

 その夢を見て目が覚める度に、俺は今ここに確かに存在していることを認め、安堵した。


 その夢は俺の記憶なのか、それともただの夢なのか。

 俺はどっちでも構わなかった。

 ただ、目覚めたときに感じるその違和感が、俺は気持ち悪かった。

 だから漠然と、その夢の正体を知りたいと暇があるとふいに考えていた。

 そしてあるとき、俺はついにその夢に答えを見つけた。


 ――それは俺の前世ではないか?


 その考えが浮かんだきっかけは覚えていない。

 しかし、そう考えるとなんだかしっくりくるのだ。

 きっとあれは昔の俺だ。

 そこで死んだ俺は、この世界で生まれ変わった。

 そう考えると気が楽になった。


 なぜ俺に前世の記憶が残っているのかは分からない。

 しかし先ほど言ったように、俺はこれが実際に前世の記憶だろうとそうじゃなかろうとどうでもいいのだ。

 要は俺が納得できるかどうかの問題だ。

 理由の分からないものほど気持ち悪いものはないだろう?


 何度も言うが、俺は前世なんてどうでもいい。

 俺は俺だ。

 今の現実を楽しもうじゃないか。

 これはそんな適当な俺と、俺が出会ったおかしな仲間たちの愛と勇気と感動の物語……だと思う。


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