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   かあちゃんとヤンキー

「あっ、こちらこそよろしく御願いします。

えっっと・・皇国で侍女をやっています、リリーナと申します。」

「あぁ、話はこの馬鹿共から聞いてるよ。リリーナちゃん。

 本当に、うちの馬鹿息子が面倒なことに巻き込んじまって申し訳ないね。」


手の平サイズなのに、可愛いとかいうのは一切なく。ただただ、堂々たる貫禄を発しておられるユージェニーさん。

太っているというわけではないのだけれど細いとは言いがたい、胸板が厚いとか、見えない筋肉がついているとかそんな感じで、健康的で日に焼けた肌、くすんだ赤色の髪を後頭部で団子状態に纏めた、鋭い赤目で不敵な笑みを浮かべている女性です。

一言でいうのなら、女海賊とか女首領とかそんな感じですかね。


「私としては自分の人生全うしたつもりだから、今更生き返るのもどうだかとは思ってんだけどね。

目が覚めてみたら、こんなけったいな姿になってるし、馬鹿たちの説明を聞いたらあいつに一発入れなくちゃ気がすまなくなったからね。

面倒を頼んで悪いが、リリーナちゃん。よろしく頼むよ。」

「あ、あいつ、ですか?」

貴族の人では絶対にない、少し太めの指をポキポキと鳴らすユージェニーさん。やっぱり、お若い時随分とご活躍なさったんじゃありませんか?

「私の旦那さ。あの馬鹿の父親の、これまた馬鹿。

たかだか、私が死んだくらいで腑抜けて、馬鹿な事態を見逃したらしくてねぇ。そのせいで、今多くの人間が迷惑被ってんだ。一発殴っとかないと、ねぇ」

それって、めっちゃ良い旦那さんじゃないですか?迷惑をかけるっていうのはどうかと思いますけど、それだけ奥さんを愛していらっしゃったんですし・・・

あまりに圧倒的な貫禄というか気合に冷や汗を流しつつ、旦那さんという方に哀れみを覚えていると、それが顔に出ていたようです。

「人間の私がさっさと死ぬなんて最初から分かっていたことさ。それをウジウジと。子供を二人残してやったんだから満足しろって話だよ。」


「無茶言うなって、お袋。ただでさえ、こう決めたら執拗で執着するのは精霊の性みたいなもんなんだよ。あのクソ真面目な親父がナンパして、やっとこさ口説き落として結婚したお袋のこと早々に忘れたり出来るもんかよ。フェーリも言ってただろ、この前。未だに毎日のように墓参りしているし、お袋の名前つけた村にも出没してるって。」


声がする床に視線を落すと、ユージェニーさんに撃沈されたクロノスさんが、額に手を当て顔をしかめて座ってますね。その横には、先ほど転げて絨毯の中に沈んでいった方が、体を半分毛に埋もらせて立っています。


執拗で執着・・・

『闇の精霊王』だけではなく、精霊っていう存在自体の性質だったんですか・・・

でも、ゲームではあれだけ騒いで問題視していたってことは、精霊の中でも『闇の精霊王』のは特出していたってことなのですかね?


「リリーナ。

その手の早いおっかねぇのが、俺の母親で『冥府』の管理者してもらう『冥府の女王』。

こっちが、タイチっって『伝達の精霊』で新聞作って印刷会社創設した転生者な。」


「今、何か言ったか、クロノス?」

「本当のことしか言ってないけど?」


手の平に立っていたユージェニーさんが再び、クロノスさんに飛び掛りました。

そんな様子を何時ものことと言わんばかりに、涼しげに横目にして、よっと手を上げているオールバックで茶色の髪を固めているヤンキーみたいなタイチさん。ですが、手の平サイズなせいか怖いとかそういうことは一切なく、むしろちょっと可愛く感じます。

「タイチって、生きてた頃は新聞屋作ったりして、情報を司ってることになる。よろしくな。」

「よろしく御願いします。

・・・時に、タイチさん。唐突ですが、印刷会社の方に口利きってのは・・・」

そんな雰囲気ではないないのですが、欲望は止まることを知らぬものなのです。

「プハァッハハ!!

 クロが言ってた通りだな。

出来るぜ?あそこの代表のとこには夢枕に立つようにしてあるから、な。

前世でも、あんたらみたいなのの仕事もやってたからな。安心して任せてくれ。」

どうやら、クロノスさんには考えがバレていたようですが、気にしません。

口元を押さえてニヤニヤとタイチさんに笑われていますが、気にしません。

全ては、より一層の発展の為なのですから。


「おい!客に茶くらい出せよ!女の子なんだから茶菓子も付けろよ」


私が野望に燃えていると、タイチさんがプルート様に顎で指示していました。

えっと、仮にも精霊王に顎で命令するのはいいんでしょうか?

仁王立ちをしているユージェニーさんも、再び正座させられているクロノスさんも気にしてもいなさそうですけど・・・


「?そういうものなのか?」

「そーゆうもんだよ。俺とかはこのサイズだし、他のは精霊だから飲み食いは別に必要ないから今までは何にも言わなかったけどな。

客が家に訪ねてきたら、茶と茶菓子用意するのが普通なんだよ。」

「そうなのか・・・分かった。」

納得して、部屋を出ていくプルート様。

「い、いいんですか?」

「あいつ、生粋のぼっちだから心を許した相手の言うことは簡単に聞くんだぜ?

 面白いだろ。」

いやいやいやい・・・

パシリですか、精霊王様を!



「で、何?あんなにあいつに気に入られちゃって、何やったのお前?」


やっぱり、そうなんでしょうか?(涙)

初めてお会いしたタイチさんに、いきなり聞かれて私のHPは枯渇しそうです。



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