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第捌幕:彼らなりの解決策

 「犀の兄貴ィ。オレ、気になることがあるんスけど……」

「何だ?」

犀は梗哉に発信機、盗聴機を付けながら言った。

「このヤマが終わった後、ぼっちゃん達はどうなるんスか?」

「……」

「考えてなかったのか」

梗哉は呆れ顔だ。それから沈黙が流れた。口火を切ったのは信弥だった。

「バラしちゃったらどうですか? 葛西組やぞって!」

相変わらずニコニコ顔だ。違う職業の方が向いているかもしれない。

「それはマズイ。ウチの組は出来てからまだ日が浅いからな〜」

うーん、と犀が唸った。謙太郎も必死に頭を捻った。

「……やっぱオレが行きますよ」

「謙太郎、お前はいい」

犀の態度が一変した。目が鋭くなった。

「でも! ぼっちゃんに迷惑は掛けられないッスよ!」

「お前が行った方が迷惑だ。そんなに行きてぇなら、組、抜けてからにしな!」

犀の言葉に謙太郎はビクリとした。信弥の顔も真剣になる。

「……すんません」

謙太郎は頭を下げ、部屋から出ていった。犀も煙草を買って来る、と言い部屋を後にした。


「なぁ、ケンってアンディゴと何かあったのか?」

「え? 梗哉君、知らへんの?」

信弥は自分で買って来た煎餅をバリバリと食べていた。それを梗哉にも差し出すが、梗哉はそれを断った。

「瀧田は元アンディゴメンバーやねん。幹部候補までいったらしいわ」

サラリと言う言葉に、梗哉は少し驚いた。

「じゃあ、ケンと佐仲の孫はそこで知り合ったのかな……」

梗哉は一人納得した。なになに? と信弥は顔を覗かせた。梗哉はそれを退け、部屋を出ようとした。

「梗哉君、どこ行くん?」

「コンビニ」

「何しにィ? オレも付いてこか?」

「スプレー買いに。アイツらに任せなくても、てめェの頭を使うよ」

信弥の目がキラリと輝いた。ガタリと立ち上がる。

「さすが、次期お頭や!オレも付いてくで!」

「だから、オレは継がねぇって!」

梗哉は信弥に一方的に肩を組まれながら、コンビニへ向かった。



 犀は口にくわえていた煙草を落とした。それほどに驚いている。

「……なんだ、それ」

「変装だ」

梗哉がぶらっきぼうに言い放つ。犀と一緒にいた頭に至っては、口を開けたまま動かない。

「どや、瀧田。似合っとるやろぉ?」

信弥が自分の頭を指して、笑う。

「梗哉ァアア!!!」

葛西組の頭、葛西康晴は変わり果てた息子の頭を見て、絶叫した。

「うるせぇな。大したことないだろ」

梗哉は父親を軽くあしらった。康晴は今だショックから立ち直れないでいる。

「……はは。やるじゃねぇか、ガキ」

犀は新しい煙草を出し、軽く笑った。

「ガキって言うな」

梗哉はいつものように言い返す。いつもと違うのは、梗哉の髪が黒から金に変わっているということだ。

「謙太郎っぽいな」

わはは、と犀が笑う。隣で謙太郎も気まずそうに笑った。

「しっかし金髪、似合わないな」

犀は梗哉の頭をポンポンと叩いた。梗哉はその手をバッと払い除けた。

「ほっとけ」

梗哉の髪は元々真っ黒だった為に、金に変えたことはかなり違和感があった。しかし寧ろそれが好都合のようだ。

「湍水さん! オレは!?」

「春日部もいいじゃねぇか。なんつーか、おもしれェ」

犀は楽しそうに言った。信弥は満足そうに笑った。

「お前は何で赤なんだよ」

ガックリしたように、謙太郎が尋ねた。信弥の髪は真っ赤で、誰も近寄りたくない風貌になっていた。

「いいやん! かっこええし。それに髪切るつもりやったしな。折角やからさー」

信弥はケラケラと楽しそうに笑った。やはり謙太郎は盛大に溜め息をつき、梗哉の身を不安に感じた。






深い青の中へ


金と赤が


無謀なダイブを


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