表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/16

第漆幕:計画と関西弁

 オレは一生、アンディゴの為に働くつもりだった。オレにそう思わせたのも、一人の先輩のお陰なんだけど。その人は過激派だったアンディゴを、元に戻そうとした唯一の人だった。だからある日、先輩はチームの過激派に殺されてしまった。もちろん、リンチで。それがキッカケでオレはアンディゴを抜けた。酷い制裁を受けて。



 「真っ青な刺青はアンディゴの誇りなんだよ」

翌日、事務所で犀が煙草をふかしながら、諭すように言った。

「しっかし、どうするかな。アンディゴに関わるとロクなことがねェ」

犀が頭をポリポリと掻く。それから、チロッと梗哉の方を見た。

「……何だよ」

「お前なら行けるな」

ボソッと犀が呟いた。すると、謙太郎が急に立ち上がった。

「犀の兄貴! そりゃ無茶ッスよ! ぼっちゃんにはまだ早ェ!」

梗哉は一人、不思議そうな顔をしている。何の話をしているのか、ついていけていないのだ。

「謙太郎、早くねぇよ。いくつだと思ってる?もう18歳ぜ?」

フンッと犀が鼻で笑った。梗哉はムッとして、立ち上がった。

「何でもやってやるよ! 言ってみろよ!」

「ぼっちゃん!!」

売り言葉に買い言葉だ。梗哉は見事に犀に誘導された。

「よーし、良く言った! じゃ、アンディゴに潜入しろ」

犀はニコニコと爽やかに言い放った。梗哉はポカンとした顔になる。

「……は?」

隣で謙太郎は頭を押さえていた。

「だーから、アンディゴに入隊するんだよ!」

「オレが?」

うん、と犀は首を一度縦に振る。

「何でもやるんだろ?」

ニヤリと笑う犀の顔は、とても憎らしかった。梗哉は謙太郎の方を見たが、謙太郎もご愁傷さま、と手を合わせていた。

「分かったよ。やってやるよ!」

梗哉は顔を歪めながら、ケッと言い放った。



 「犀の兄貴ィ。やっぱ無茶ッスよぉ」

梗哉が準備している間、謙太郎が力なく言う。犀はのんびりと煙草を吸っている。

「過保護だな、おめェも」

ケケケと笑う。そしてポケットの中から小さな機械を取り出した。

「見ろ。発信機アーンド盗聴機!これがあれば、オレ達も楽だろ?」

今度はヒヒヒと笑った。謙太郎はガクッとうなだれた。

「あ、あと、春日部を付けるから」

「はぁ!? 信弥を!?」

「おぅ。これでお前も安心だろ?」

「いや、寧ろ更に心配に……」

大丈夫大丈夫、と犀が笑った。謙太郎はもっと文句を言いたかったが、それを遮られた。

「湍水さーーーんっ!!」

バターン、と元気よく信弥が入って来た。

「よっ!」

犀がパッと手を挙げる。信弥はニコニコーッと笑う。

「湍水さん! オレ、一生懸命働いて来ます!!」

信弥は目をキラキラさせて、犀に訴えた。

「おぅ、頼んだぜ」

謙太郎はガクリとして、黙ったままだった。信弥は謙太郎に気付き、話し掛けた。

「お! 瀧田やないか! なんや元気ないなぁ。どうしたん?」

信弥は関西出身の為、関西弁を話す。しかし犀に対してはシッカリと敬語を使った。

「いや、何でもない。ぼっちゃんを頼んだ」

「お前に言われんでも、湍水さんの頼みや。やったるわ!」

ポンッと胸を叩いた。信弥は背が高く、しっかりとした体つきなのに、話してみると幼い印象を受ける。謙太郎はそれが心配だった。

「安心しぃ。オレかて、大人なんやから!」

信弥がそう言った後、梗哉が準備を終えて出てきた。






苦労人の


溜め息が


小さく零れる。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ