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第肆幕:目撃証言

 骨董品屋の時はゆっくり流れる。佐仲は静かに見たことを話し始めた。

「最初は人違いかと思ったんだ。孫の明花とは見目が違いすぎたからな」

「しょうがねェや。年頃の女の子なんだからよ」

古いねー、と犀はケラケラ笑った。

「茶色だった」

「は?」

「髪の色が茶色だったんだ」

そう言う佐仲の顔は真剣そのものだった。犀はポカンと口を開け、呆れていた。

「茶髪なんて、今じゃ当たり前じゃないか」

梗哉が呟く。信じられないといった顔だ。

「謙太郎なんか金色だぜ? 茶髪なんて目じゃねェや」

犀は謙太郎の頭を叩きながら言った。謙太郎はえぇ!? とビックリしている。

「明花は髪を染めるような子じゃない。それはそこの金髪が一番知ってるだろう」

「おい、謙太郎! そうなのか?」

犀はバッと振り返った。謙太郎はビクッとする。

「え……はい。明花ちゃんとは仲が良かったから」

おずおずと話す謙太郎に、犀ははぁと溜め息をついた。

「謙太郎、ハッキリ言ったらどうだ。お前のコレ、なんだろ?」

犀はパッと小指を立てて、ニヤリと笑った。謙太郎は頭をブンブンと降り、それを否定した。

「まさか! 明花ちゃんがオレみたいなのを相手にする訳ないッスよ!」

「そうだ。明花は昔から真面目で、学級委員をするような子だった」

「学級委員でも髪は染めるだろ」

梗哉がなかば呆れて言った。

「とにかく! 茶髪の話から離れようぜ!」

犀がもっともな提案をした。謙太郎はうんうん、と頷いた。

「で? 明花ちゃんは何をしたんだ?」

「隣にいた女を刺した」

「ほォ。簡単でいいな」

佐仲は頭を押さえながら、一息をついた。

「最初は仲良く話していたんだ。ところが急にケンカを始めて、明花が鞄からナイフを取り出した」

「物騒なお孫さんだな」

店内に沈黙が流れる。沈黙を破ったのは、佐仲だった。

「明花は女を刺した後、走って逃げて行ったよ。丁度、門川のパン屋の方向へな」

「よし。悪ィな、オヤジ。門川んトコに行ってみるわ」

犀は煙草をくわえ、立ち上がった。謙太郎、梗哉も店を出る準備を始めた。

「……あぁ」

「まだ分かんねェよ。明花ちゃんかどうかなんてよ」

犀はただそれだけ言って店の外に出た。謙太郎は佐仲に向かって少し困った風に笑いながら、また来ます、と伝えて後に続いた。一人残された佐仲は頭を腕の中に深く沈めた。


 

 「うわ、うまそー! 門川君、これくんない?」

焼きたてのパンが次々に出され、店内は美味しそうな匂いが漂っている。

「湍水さん。アンタ、ツケが溜ってるんだから。まずそれを返してからだね」

エプロンを着けた男、店長である門川は犀の目の前にあるパンをバッと退けた。あーあ、と犀は残念そうにそれを見送った。

「逃げた犯人は見なかったッスか?」

謙太郎が門川に尋ねる。門川は少し考えていたが、すぐに答えた。

「見たと言えば……見たね。はっきりとではないのだけど、ウチの壁にぶつかった女性は見たよ。酷く焦ってた」

犀と謙太郎はそれだ! と顔を見合わせた。

「茶髪だったか?」

「あぁ」

聞き出した特徴は見事に明花と一致した。

「そういえば、タチの悪い刺青をしてたな」

「どんな?」

「謙太郎、顔馴染みさ。チーム、アンディゴだよ」







あおい 


あおい


僕等は



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