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序幕
ヤクザや組のことはよく知らないので、かなりイメージが入っています!
殺伐とした場所に、クリクリとした大きな目が二つ。それらは動かずに、ただ一点を見ていた。
「……何だよ」
返事は無い。
「ふん、ガキがこんな所をうろついてんじゃねェよ」
男は懐から煙草の箱を取り出した。その中の一本をくわえ、火をつけようとした時だった。
「おじちゃんのお顔は、どうしてそんなに真っ赤なの?」
幼子の、無邪気な問い。男はニッと笑った。
「そうだな、お前がもう少しデカくなったら教えてやらァ」
二つの目は依然として、ジッと見つめたままだった。
真っ赤な、真っ赤な、おじちゃんのお顏の赤を、多分僕は忘れない。