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。鈍。  作者: 深水葉月
71/89

65刀



「なぁなぁ優っちはどこ行ったん?」

「あ、夕暮さん」

「そうしてると鎦ちゃんみたいやなぁ!」

「い、いえそんな…」

「咲ちゃんはほんとかわええわぁ!」

「て、てれます…」


 あたしがかわいい?

 鎦花さんみたい?

 何を言ってるの?

 こんな中身のない人間が?


「それって地毛?

 綺麗な金髪に、緑の目やん?」

「あ、えと…そうです、ハーフなので…」

「えぇなぁ!うちなんて、おかんもおとんも大阪やで?」

「そっちの方が…、羨ましいです…」

「全然やて!あ、来ちゃんが勝った!!」

「…!そうみたいですね」


 からっぽ。からっぽ。

 ノア様に出会うまで。

 出会ってからもからっぽ。


 なにをしてもなにも感じない。

 楽しくても、嬉しくても、悲しくても、怒りたくても。

 

 どうして、私…、からっぽなんだろう…





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