70/89
64刀
う…ん?
ここはどこ?今はいつ?
「やほー!鎦花ちゃん♪」
「…ッ!!」
目の前に立つのは、粕谷優。
なんで?いるの?
「サボってないよ!僕には試合がないから」
「試…合?」
「体育だよ♪鎦花ちゃん、当分行かない気だったでしょ?」
「…」
「まぁいいよ、また不登校に戻っても!」
「…!」
恐怖で声が出ない。
キミは、死者だろう?
なんで?
「聞いてなかった?
僕はノアだ。ずっと生きれる永遠に。」
「ノア様」
扉が開いて、人が現れる。
藍季…さん…も…?
「はいはい、そうだ鎦花ちゃん、僕の花嫁にならないかい?」
「嫌だ。」
「…そこは即答なんだね」
「うるさい、黙ってよ」
ガタガタと震える体を、必死に庇う。
そっと、優くんの手が私の頬を撫でる。
「行ってくるよ、鎦花」
ドアが音を立てて閉まる。
私は、ずっとこのままひとりでいるのか…。
撫でられた頬を、手の甲で何度も何度も擦った。