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59刀
「お、おい!守城ッ…!?」
「鎦ちゃん!?」
「先生、鎦花ちゃんはお腹が痛いみたいです」
「あ…そうか、粕谷。
じゃあ、そっちの自己紹介を!」
「鍛治屋三咲です…」
眼鏡をかけ長い髪を、後ろで一つにまとめている少女が口を開いた。
謎めいた転校生二人の席は、
生憎、俺の後ろで鎦花の隣に粕谷
夏目と榧の間の席に鍛冶屋と、なっていた。
「なぁなぁ!仁…!
鍛治屋…三咲って!
あのモデルの『三咲ありす』!!?」
「あ、あぁ多分。」
一度CM撮影で共演した事のあるモデル、だと改めて気付く。
「きゃわわわわ!!!!すごーいッ!!!」
「錐崎くんと、水谷さんだっけ?よろしく」
「あ!優っち!よろ!!」
「優っち…?」
「あぁ…、気にしないでくれ。夕暮の趣味だ」
「ふぅん、おもしろいね」
「優、だっけ?鎦花と知り合いか?」
「ただの顔見知りだよ。」
一瞬だけ、優の顔はひどく歪んで見えた。