56刀
「…っチィッ!」
一方、その頃の夕暮。
何回やっても、何回打っても銃弾が当たらない。
やっぱり狙撃銃じゃだめなのかな―?
「ナンセンスだ」
「!?」
気付けば、夏目は私の後ろに立っていて。
手に持った竹刀程度の刀を振り下ろしていた。
私は狙撃銃を夏目に投げ、後ろに下がる。
「(これは、能力―!)」
少し落ち着いて、私は分析をはじめる。
【絶対主義】。絶対主義…、意味が違うような…。
いやいやいや、つっこんだりしとったらダメや!
惰弱って言われても、うちには能力がいるんや。
やから――!
「隙だらけだ」
ザシュ、という鈍い音。
傷口から噴き出る血。
「終わったな」
瞬間、腹に激痛を覚える。
「隙だらけやで」
「ッ…チィ!ダミーか!」
ハンドガンを手にした夕暮は、容赦なく夏目に襲いかかる。
何百発という弾丸の嵐を夏目は剣ではじく。
「「!」」
(弾詰まった!)
夕暮は、後退し距離を取る。
「なんやねん、あんたやるやん」
「ハッ!うるさいな」
出血多量によって、夏目は顔が真っ青になっている。
「でもなんやかんやいって、甘いな、アンタ」
幻影の夕暮は消え、夏目に膝カックンをくらわせた。