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53刀
“仁さんらしきもの”は、すっと手を前に伸ばした。
パチ、という音と同時にまさに電光石火のごとく、
地面に雷が這い、二人を襲う。
受け身を取るのが遅れた戎谷くんを痺れさせる。
榧さんは、鎌を利用して遠くへ飛んだ。
「ありえないにゃぁ!」
バチッ、と光り追撃の雷が、榧さんに向かっていく
「【沈黙の掟】っ!!」
能力を発動した榧さん。
【能力禁止】という文字の出たパネルが、私と仁さんの肩につく。
仁さんは、能力を止められ元の姿に戻り、私の横まで後退した。
「鎦花…?」
「やっぱり仁さん!大丈夫でしたか?」
「あぁ」
「なぁに、いちゃついてるんだにゃ!?」
榧さんは、その間に大きく前進し私たちに近づいてきた。
私は刀を構え、仁さんも大剣を構え、お互いに呼吸を整えた。