3刀
守城家に次男と三男の双子コンビが帰省したそうです。
だけど、鎦花は今日も引きこもる。
剣士なんかならない、学校も大嫌い。
ほのぼの系引きこもり阻止物語。
「おい!鎦花!出てこい!」
耳障りな錮皇兄さんの声。
そうやって、いつもあたしを追い詰める。
この家も、錮皇兄さんも、ぜんぶ、ぜんぶ、
だいきらい。
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気がつけば、もう夜。
時計代わりのあたしのノートパソコン(あいぼう)をつけた。
時刻は、23時55分。
もう少しで、一日が終わるな。
と、閉ざされた空間で私は一人呟く。
「どうしてこうなったのかな。」
『それは、自分がしたからよ。』
扉の前から聞こえる、誰かの声。
「嘘よ、私は逃げるために・・・」
『その意思はあなたのものでしょう?』
「違う、違う、ちがう、望んでない。」
『言い訳するなよ、ねえ?』
「黙れ、何を、何を分かった気になって・・・!」
『逃げることは、回避すること。
あんた、何も考えてないじゃないか。』
声は、それを言って消えた。
私は、あたしは、私は・・・。
どうしたかった?
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「おはよう、兄さん達。朝食は?」
「え?鎦花?」
「何?錮皇兄さん。早くしてよ、時間になるじゃない。」
「あ・・・、ああ。」
食卓を囲む美味しそうなパン。
色とりどりの野菜のサラダ。
初めて・・・いや、小学生以来の朝ごはん。
「鑕兄さん、昨夜はありがとう。」
恥ずかしそうにうつむいた、鑕兄さんの顔は笑っていた。
脱・引きこもりな鎦花ちゃんでよかったです。
きっと、鑕兄さんは元引きこもりです。
どーでもいいけど、錨兄さんがしゃべってないや。
やっぱり朝はパン派の作者でした。