32刀
「win!!榧、夏目、戎谷チーム!」
ビュン、と“夏目”と言う剣士が剣についた血を祓い、鞘に納める。
「凄腕の剣士、ですね」
「でも、次は勝てへんかも・な!」
夕暮がクスクスと笑っていた
「ああ、なんせ2年連続優勝チームがいるからな」
仁さんがある3人に指を指す。
「明日の初戦。よく見とけよ」
「終音ちゃんと来ちゃんと智ちんが出てくるんやからな!」
「智ちん…?」
「その呼び方はやめろって何度も言ってるだろ」
「え…?」
「智!」
仁さんが薄い茶髪の男に近寄る。
クールそうな仁さんと、チャラそうなその人との見た目のギャップがとても浮き立つ。
「…智、何…話始めた…」
「あ!来ちゃん!」
「…夕暮…」
とても背の低い女の子が嫌そうな顔をする。
「はいはい、止めーや!」
パンパンと手を叩いて、もう1人女の子が上から階段を下りてくる。
珍しい、色素欠乏症の女の子だ。
「はじめまして、うちは、初終音って言います」
あっけにとられていた私の前に、終音さんが立つ。
「あ、初めまして!守城鎦花です!」
「よろしくな!ほら!二人とも!帰るよ!」
「…了解」
「はいはい!」
さらにあっけにとられた。
「終音ちゃんと智ちんは剣士で、来ちゃんは銃士やで!」
いつの間にか夕暮が隣にいた。
「去年、クラスが一緒だったんだよ」
「あ、仁さん!そうなんですか」
「まぁな、よう考えればあのチームが1番強いって言われとんな…!」
最強のチーム…か。
今日会ったのがその3人とは、驚くしかない。