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30刀
試合が終わって、二人は俺に駆け寄った。
「あ、あの仁さ…、っ、なんで斬らなかったんですか?」
「あ?いいじゃないか」
「ふふふ、鈍いわぁ!鎦ちゃん!
あんな、仁はな…」
「夕暮ぇぇぇええ!!!」
「?…喧嘩はダメですよー?」
鎦花は何も知らず夕暮に殴りかかる俺を止める。
鈍いな。本当に鈍い。…きっと、俺よりも。
どうやら俺は恋してしまったらしい。
そして、相手が相手だけに前途多難みたいだ。
でも、必ず守ってみせる。
そして、俺は潜在能力をこの世から消してみせる…!