1刀
私のお家では、生まれた子を剣士として育てるというしきたりがございます。
また、名前は金がつく名前しかつけてはならないのです。
そして、成人を過ぎたなら、
剣士として、誰かに雇ってもらい、
人を斬るのです。
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「そーんな掟、ぜぇったい守らないからね!!」
「鎦花!!」
そんな掟、古すぎる。
私は私らしく生きたいし、剣士なんてなりたくない。
「お兄ちゃんは真面目すぎるのよ!だから錮皇なんて堅苦しい名前、付けられるのよ!」
「生まれる以前から決まってただろ!名前なんて!!」
「うるさい、うるさい!!」
これだから錮皇兄さんは融通ってものが利かないのよ。
いい年こいて、シスコンなんでしょ!
ああ、笑える!!!
「勝手に私のいいなずけを決めたらしいじゃん!もう、我慢できない!出ていくよ!」
「いいじゃないか!一回会ってこい!」
「黙れ!お前が会ってこい!」
「そんな言葉どこで覚えた!」
「うるさい!もういい!」
思い切り扉を閉めて、私は部屋に閉じこもった。
ノートパソコンを立ち上げ、ブログを書く。
絵師になりたかった。歌い手になりたかった。
美容師になりたかった。パティシエになりたかった。
でも、私はなれない。
家が私の邪魔をする。
この「守城」という家が。
長男は、頑固で融通が利かない。
二男は、女装壁のある変態。
三男は、優しいけどホントはドSな腹黒。
長女は、とても頭がいい学者(兼剣士。)
そして、次女のアタシ。
みんな剣士になっていった。
みんな人を殺した。
だけど、あたしだけ違う。
あたしは、人を斬るどころか、刀を握ることすら怖い、
ただの鈍だ。
いわゆる処女作っていうやつでしたw
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