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23刀
こうも忙しく時間は流れるものであって、
1回戦の勝者は死野絶、希屋無声、愛尾不離となっていた。
「やっぱり。アイツらか…」
「うん…、やりずらいわぁ…」
俺は、夕暮と部屋で話した。
「二回戦も厳しいが、一回戦も厳しい。くじ運ねぇな…」
「うちが引いたんやないもん!
じ、仁やろぉ…?
そないな目で見んといてっ!」
「はいはい…」
そもそもくじ運が悪すぎた。
鎦花のあの潜在能力に頼るのは、極力控えた方が良いだろう。
一回戦から、不思議チーム。
アイツらは殺りにくいし、闘いにくい。
一番嫌いな…
「はははっ、苦しむ優等生見るのって楽しいね。」
「…質が悪ぃ。」
生徒宿舎を防犯カメラで覗く、藍季と紫煙。
「何もかも、お前の言う通りって奴か。」
「あぁ、勿論。
いいや、あの人が仕掛けた事、なんだけどね…」
クスクスと黒い笑みを藍季は浮かべる。
「…【錯削創】…。」
「全く、皮肉な能力だ。」
「簡単…の間違いでしょうが。」
藍季はワインを一口、口に含んだ。
「さぁ。能力開花のショータイム…だ」
紫煙は下を向いて救護塔へと歩みを進めた。