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14刀
一次試験も終わり、私はいったん泊まることになった寮の部屋で休む。
寮というよりも、普通のビジネスホテルに近い作りになっているその部屋は、豪華で広い。
二次試験からは、いよいよ実戦。
つまりは“殺し合い”で、死者が出てもかまわないみたい。
いつも丹念に手入れしてある、二つの剣をそっと触る。
人を斬れなくなった、剣士として“鈍”な私が握る剣。
長い方を「蒼零刀」短い方を「想朱刀」と、銘柄が打ってある。
そっと、その刀を撫でる。
『あの』事から。
私は刀を握るだけで恐怖するようになった。
「なんでかな…。」
頬を涙が伝う。
『あの子』は、殺してしまった。
唯一のライバルで。
とても優しくて…。
涙を拭って、目をつぶる。
もう、寝ないと…。
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