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1974年  作者: yoten
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(初稿版)第二章・第三節:秩序なき地平

> 私は確かに4人と共にいた。

だがそのうちの1人は、私の名を知らなかった。





---


「マコール、お前……さっき俺の名を呼んだか?」


「は?呼んでないが……大丈夫か、少佐」


「今、君の声で聞こえた。“ジョナサン、もう戻れない”って──」


マコールは無言のままこちらを見た。

その瞳の奥に、かすかに揺れる“迷い”のようなものがあった。


> 吹雪が止んだ。




いや、音が止んだのだ。

風は吹いている。だが、耳に届かない。


「おい、何か……変だぞ。耳が──」


他の隊員が声を上げるが、言葉が途中で切れる。

口は動いているのに、音にならない。


視界が、白から“色”に変わった。

それは地平線の端、氷床の割れ目から、じわじわと滲み出すように現れた。

赤と黒の混ざり合ったような、現実には存在しない“空の裏側”のような色。


私はその方向へ、吸い寄せられるように歩いた。


「ダンフォード少佐、戻って──!」


誰かが叫んでいた。

だが私はその声を、過去の記憶としてしか認識できなかった。



---


> そこに、“扉”があった。





---


氷に裂け目が走り、その奥に、円形の金属的構造物が見えた。

古びていない。

むしろ、あまりにも“新しい”。


だがそれは、設計されたというより、

“育った”という言葉の方が近いかもしれない。


> 「あれは……何だ」




私はそう呟いた。


そのとき、後ろから声がした。


> “それはあなたの未来よ。まだ誰も書いていない方の。”




私は振り返った。


彼女がいた。

濡れた服。素足。氷の上に立っているのに、凍えていない。

今度は、はっきりと顔が見えた。

若い。だが老いてもいる。

声は優しく、冷たい。


> 「もう、この年の概念を捨てて。1946年も、47年も、74年も、同じ場所にあるの。

だから誰もここから帰れない。時間は、記憶のままに閉じられるのよ。」





---


その瞬間、私の中で何かが崩れた。


地平が回転した。空が裂けた。

自分の呼吸のリズムが、別の誰かの心拍と同期する。


私は叫んだ。


> 「これを……報告しなければ! 誰かが──国家が──これを、理解しなければ!」




足元の氷が割れた。

意識が、崩落する。


最期の記憶は、

誰もいない氷の中で、誰かがこちらを見ていたこと。



---


> 【記録ここまで:OIA再構成素材・第23節終端】

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