20/40
(初稿版)第四章・第六節:意図の数が価値を高める
A.N.Hは机に広げたリストを見つめたまま、ふと、ある矛盾に気づいた。
これだけの勢力が、ケネディの死に何らかの利益を得ている。
だとすれば、**“引き金を引く理由”**はどの陣営にもあった。
だが、現実に撃たれたのは――せいぜい3発の弾丸。
それに対して、候補は――10を超える“動機の存在者”たち。
> (多すぎる……犯人が)
> (弾丸は有限だ。なのに、犯人は無限に現れる)
彼は、ペンを取り、ノートにこう書いた。
---
> 「1発の弾丸に、どれだけの“動機”が乗せられるか?」
---
その瞬間、ある感覚が彼を撃ち抜いた。
まるで、銃弾という現象が、“記号”に変わる音がした。
> (これは、ただの殺人じゃない。象徴の製造だ)
ケネディが殺されたという事実よりも、
「ケネディが殺された“ことにされた”」構造の方が強い。
> (では、その弾丸の“価格”はどう決まる?)
A.N.Hは震えた指で、最後にこう記した。
---
> 「真犯人が多ければ多いほど、1発の弾丸の価格は上がる」
> 「そして、すべてが“誰も撃っていない”可能性を補強する」
---
そのとき彼はまだ知らなかった。
彼の手元にある資料の中に、“発射されていない弾丸”が1発、存在していることを。




