表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1974年  作者: yoten
2/40

(初稿版)第一章・第二節:自由の守護者アメリカ

アメリカ合衆国は、自由の象徴だった。

 少なくとも、世界がそう“信じさせられていた”。


 真珠湾を襲撃され、戦争へと突入した彼らは、ヒロシマとナガサキで戦争を終わらせ、ナチスの狂気を裁く国際法廷の主催者となった。

 その物語は明快だった。

 「自由」と「民主主義」の陣営が、「独裁」と「全体主義」に打ち勝ったのだと。


 そして、新たな時代が始まった。

 戦争ではなく、冷戦という見えない戦いが。

 今度の敵は、かつての味方──ソビエト連邦だった。


 東西で分断されたベルリン。

 北緯三八度線で凍りついた朝鮮半島。

 鉄のカーテン。赤の脅威。スパイ戦。核の抑止。


 アメリカは「自由世界」のリーダーとして、あらゆる手段を正当化し始めた。

 「共産主義に対抗するため」──この魔法の言葉は、どんな嘘も、どんな戦争も、正義に変えた。


 ──選挙の不正介入。

 ──反米政権の転覆。

 ──傀儡政権の擁立。

 ──CIAの極秘作戦。

 ──マスメディアの協力。


 それらは決して報道されず、もしも漏れたとしても、それは“陰謀論”として片づけられた。

 「自由の敵」に対抗する手段は、しばしば自由を踏みにじっていた。

 だが、誰もそれを告発できなかった。なぜなら、それを語ること自体が、「敵の手先」とみなされたからだ。


 やがて、“自由の守護者”は世界中に軍事基地を展開し、監視網を張り巡らせた。

 日本にも、韓国にも、西ドイツにも、イギリスにも。


 表向きは「同盟」だったが、実態は明らかだった。

 世界は、アメリカという一つの「神」を中心にした擬似宗教空間と化していった。


 この神は、十字架の代わりにミサイルを掲げ、聖典の代わりにテレビを使った。

 彼らの教えはこうだった。


> 「我々の自由は、世界の平和のためにある。

我々の覇権は、あなたの安全を保障する。

だから、我々を信じなさい。」




 信じなかった国は、燃やされた。

 信じた国も、縛られた。

 信じるふりをした者たちは、時に買収され、時に消された。


 その一方で、人々はテレビに映る“アメリカンドリーム”に憧れ続けた。

 ジーンズ、ロック、映画、ハンバーガー。

 「自由」という幻想は、カラフルで、甘く、魅惑的だった。


 そして誰も気づかなかった。自由とは、檻の中に描かれた夢であることに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ