ルシェリアは魔王として生まれ人間として生き勇者として逝った
誰よりも気高い女性ルシェリアは正史に名は残っていない。
だが、外史・異史・偽史では違う。
そして時代を遡る程にその名は多くの箇所で目にすることが出来る。
その始まりの一句は次の通りだ。
――魔王ルシェリアは世界を滅ぼすだろう。
*
時代が古ければ古いほどに魔王ルシェリアは世界そのものに深く関わる存在だった。
当時の世界には魔法の根源となる魔力は確かに存在しており、夢と現の境が曖昧で、地図と幻想が地続きで、魔法が科学に駆逐されていなかった時代。
予言は紛れもなく現実に起きる出来事なのだ。
故に当時の人々は魔王ルシェリアを探した。
魔王を殺し世界を守るという高潔なる使命感から。
あるいは魔王殺しの英雄となりたいという虚栄心から。
ルシェリアは自身が何者かを知らずに生まれた。
両親は分からない。
もしかしたら両親など存在しなかったかもしれない。
ルシェリアは神話に語られる魔獣が潜んでいても違和感のない森の中で独りで生きていた。
後にルシェリアと共に世界から消える魔力により、まだ十歳であるにも関わらず彼女は生きる事に不自由はしなかった。
国を隔てても感知が出来る程に膨大な魔力により、彼女の身に傷をつけることは困難であり仮に傷が出来ようとも瞬時に塞がってしまう。
彼女からすれば言葉も発せずに襲い掛かってくる奇妙な人間達など煩わしさこそあったが、恐ろしい存在となることは決してなかった。
「あなたが魔王ルシェリアですか?」
ある日、ルシェリアは森の中で一人の聖職者の青年として出会った。
姿を見るなり襲い掛かって来ない人間は初めてで、ルシェリアはやや迷った後に問い返す。
「魔王?」
知らない言葉だった。
当然、その意味も。
宿命だって。
聞かされるまで彼女は何一つ知らなかった。
「そうですか。私は世界を滅ぼすのですね」
聖職者は武器を構えていた。
攻撃の姿勢ではなく防御の態勢。
しかし、強固ではない。
「すみません。質問をしてもよろしいでしょうか」
「何でしょうか?」
ルシェリアの問いは二つ。
「世界は滅ぼさなければならないのでしょうか」
「……私達が生きる世界です。滅びてしまうのは困りです」
「なるほど。だから私はこうして何度も殺されかけているのですね」
答えを受け取りルシェリアは空を見上げる。
何重にも重なった木々の影でほとんど光の届かないこの場所では見上げたところで太陽は微かにしか感じられない。
「私は何で生まれたのでしょうか」
二つ目の質問に聖職者は答えられなかった。
予言者の語る魔王は目の前に居たのに。
ただ彼女が困惑をしているという事実だけが彼の身体から力を奪い去る。
「魔王ルシェリア。私からも質問をしてもよろしいでしょうか」
「はい。何でしょう」
「あなたは何故世界を滅ぼすのですか?」
「知りません。私、世界を滅ぼすつもりなんてありませんから」
聖職者は自分の答えを出すのにはそれだけで十分だった。
彼は武器をしまいルシェリアに言う。
「ルシェリア、逃げましょう」
「え?」
「ここに居る限り人々はあなたを殺しに来ます。だから、あなたはここに居るべきではない」
「ですが、私はこの場所を出た事は一度もありません」
「はい。だから私が案内をします。外の世界を」
「何故、そんなことをするのですか? あなたは私を殺しに来たのでしょう?」
ルシェリアの問いに聖職者は微笑む。
「私は神に仕える身です。魔王や悪人ならいざ知らず、何故罪もない少女を殺すことが出来ましょうか」
生まれて初めて目にする穏やかな表情にルシェリアは困惑しながらも問いかける。
「よろしいのですか? 事情が分かった今ならばこの命、あなたに差し出しても良いのですよ」
「私の神は罪無き命を奪ったりはしません。私もまたそうです」
差し出された手。
ルシェリアは息を飲んで指先で触れる。
「……あなたの名前は?」
「エリオン。神様に仕えるただの人間です」
「エリオンさん」
初めて聞く自分以外の名を繰り返しルシェリアはその手を握る。
冷たい手が温かくなる。
「ありがとうございます」
風が吹き、声を照らした。
外史・異史などではエリオンは勇者とされることもある。
その一方で正史におけるエリオンの末路は次のように記されている。
――異端者エリオンは二度と人として生まれぬよう徹底的に身体を細切れにされた後に火刑に処された。
**
魔王ルシェリアがどのような生涯を過ごしたかは外史・異史・偽史でも多くは語られていない。
その一方で民話を始めとする口伝えの物語では彼女の温かな足跡はしっかりと残されている。
「これをすれば良いのですか?」
「ええ。出来ますか? ルシェ」
「もちろんです」
エリオンに言われ川を塞き止めていた巨石をルシェリアは魔力の結晶を放ち破壊した。
破片が飛び散ったがそれらをエリオンは魔力の障壁を造り出し防ぎきる。
「あぁ……」
障壁の中で見物をしていた村長は感嘆の息を漏らす。
彼の村ではこの巨石のせいで水不足の問題に悩まされており、幼子でさえ駆り出されて水の確保をせねばならないほどだった。
それがあっさりと消える。
まるで夢を見ているようだった。
「終わりましたよ」
振り返るルシェリアに村長は泣きながら何か言った。
何度も頭を下げられた。
それらの意味と意義をルシェリアにはよく分からない。
いつものようにエリオンをちらりと見て、返された軽い頷きを合図として答える。
「全て、神の御心のままに」
戻った村でルシェリアとエリオンは細やかながらも心からの歓待を受けた。
エリオンはいつだって必要最低限の報酬しか受け取らない。
例えば今回であれば用意されたご馳走と僅かな旅の資金、そして絶え間なく続く感謝の言葉。
「お姉ちゃんのその力はどこから来るの?」
エリオンが村長を始めとする有力者に捕まっている間、ルシェリアは子供達の相手をさせられていた。
子供の心はいつだって純粋で人間の世界を知るのにはぴったりだとエリオンが判断していたからだ。
「神様の力です」
「神様の力?」
「はい。神様から与えられた力です。多くの人々を救うようにと」
ルシェリアは神を信じていなかった。
しかし、神様に仕えるエリオンの事は誰よりも深く信じていた。
だからこそエリオンの言葉に盲目的に従うことを選んでいたのだ。
「なんでお姉ちゃんだけそんな力があるの? 僕らのお父さんもお母さんも神様を信じていたけど、お姉ちゃんみたいな力は持っていないよ」
ルシェリアは言葉に詰まる。
そもそも彼女にこのような力があるのは全て魔王として生まれたからにすぎない。
世界を滅ぼすためには世界を滅ぼせるだけの力が必要だ。
事実はただそれだけだ。
「役割だからですよ」
「エリオンさん」
現れた保護者にしてパートナーである聖職者にルシェリアは安堵する。
不思議がる子供達にエリオンは聖句を交え、時には聖書を引用しながら煙に巻く。
「農夫は作物を耕し、パン職人はパンを作り、王様は国を守り……というわけで誰にでも役割があるのです。ルシェにも私にもあなた達にも」
「よく分からないや」
「ふふふ。実のところは私もです。何故、役割というものを神様が与えたもうたのか、私にも分かりません」
温かなミルクの入ったマグカップを持ちながらエリオンが子供達に笑いかけるのを見つめる。
ルシェリアはエリオンの声が好きだった。
語る言葉も好きだった。
「ただ一つだけ確かなのはルシェの役割はこの世界を少しでも良くすること。少なくとも私はそう信じているのです」
ルシェリアの身体を形成する魔力は魔王の証明とも言えるものであり、魔法に長ける者や聖職者であれば彼女が予言されていた魔王であることに気づく。
それ故に二人は一所に留まることは出来ない。
このような小さな村であればいざ知らず、町へ行こうものならばすぐさま正体がバレてしまうだろう。
各地を転々とする生活は十数年ものあいだ続いたと言われている。
数え切れないほど残されている民話が真実であるとするならば、少なくとも魔王ルシェリアはこの時点では人間に対して恨みや憎しみを持っていたとは思えない。
そして、数え切れないほど存在する真偽不明の民話は正史におけるエリオンの捕縛及び処刑の記載からぷつりと嘘のように消えてしまうのだ。
***
冷たい石畳の上に裸で縛られて転がされたまま、目の前で皮を剥がれるエリオンをルシェリアは呆然としたまま見つめていた。
昨夜までは共に旅をしていた最愛の男性が牢の中で呻いている。
異端者。
裏切り者。
神に背く者。
エリオンと同じ人間が今までに見た事のない残虐な行為をエリオンに行っている。
彼らは一様にして神聖なるローブを身に纏い、これ見よがしに神聖なる呪いを口にし、祝福を受けた武器を振るう。
認めよ。
自らの罪を。
立ち戻れ。
我らが同士よ。
魔王の下から戻れ。
彼らは泣きながら武器を振るう。
ナイフで剥ぐ。
治癒魔法をかける。
エリオンが死ぬのを彼らは許さない。
彼らが行っているのは制裁ではない。
救済なのだ。
深い罪を負った仲間をどうにか取り戻そうとする儀式なのだ。
「やめてください」
ルシェリアは泣いて訴えかけたが彼らは誰一人顧みることはなかった。
「エリオンさんが死んでしまいます」
慈悲深い聖職者たちは罪のない魔王を殺すことはなかった。
かといって、そのまま野放しにするわけにもいかないのだ。
そんなこと考えるよりも明らかであるのにエリオンはそれをしなかった。
それはつまり、偉大なる聖職者エリオンは既に魔王ルシェリアの手駒と化しているという意味だ。
傷をつけろ。
傷を塞げ。
声をかけろ。
優しい声を。
聖句を唱えろ。
彼に届くように。
「エリオンさん。エリオンさん」
魔王ルシェリアは恐ろしい。
こんなにも優れた聖職者エリオンを傀儡にするなど。
魔王ルシェリアは度し難い。
暴言も暴力も用いずに人間一人を完全に支配するなど。
嵐のように降り注ぐ聖句の中でエリオンが少しずつ命ではなくなっていく。
ルシェリアは縛られたまま大声で泣き叫ぶ。
何でもするからやめてくれと懇願する。
しかし、聖職者たちは惑わない。
神様に仕えている者達は悪の言葉になびきもしない。
魔王ルシェリアはこの状況を変えることなど容易く出来たはずだった。
自らを縛る神聖魔法で出来た鎖など一瞬の内に振り払い、群がる価値無き者を振り払い、最愛の相手を助け出すことなど造作もない。
けれど、この場に居るのは魔王ルシェリアではなく、エリオンと旅をしていたルシェリアでしかなかった。
神様を愛するエリオンを誰よりも信じ、敬愛しているだけの少女でしかない。
エリオンはどんな時でも誰に対してでも愛をもって接していた。
故に彼女は自らの内にある魔力を解放することはなかった。
暴力に支配されることもなかった。
「あぁ……」
落胆の声が聖職者たちから響く。
ルシェリアのものよりも清い声が牢の中で響く。
「なんて残酷な魔王」
聖職者達が振り返る。
泣き腫らした目で魔王ルシェリアを見下す。
悲哀に肩を落としながらも、誠実なる双眸で悲劇の原因を睨みつける。
「貴様がエリオンを殺したんだ」
暴力を真実に変えて振り下ろされる。
全身が燃えるような憎悪が包むのを感じながら、それでもルシェリアは何もすることはなかった。
叫ぶことも、暴れることも、殺すことも。
エリオンが死んでしまった今では何の意味もないと知っていた。
同時に。
決定的な何かが目覚めようとしているのにも気づく。
あるいはそれこそが――予言の成就を告げる産声だったのかもしれない。
「エリオンさんを……」
それでもルシェリアは願うだけで留めた。
「優しく、葬ってください」
正史にはエリオンの処刑は異端者であるが故と短く記載されている。
好き者達は外史や異史・偽史、果てには民話まで持ち出して背景に何があったかを面白おかしく語るが、全てはくだらない与太話に過ぎない。
****
ルシェリアの心温まる民話がエリオンの処刑の直後から姿を消すのは先述の通りだ。
代わりとばかりに彼女の名が現れるのは外史・異史・偽史となる。
それらによれば魔王ルシェリアはエリオンの処刑の後は大神殿に封じられてたという。
とはいえ、その内容も実にあっさりとしたもので仮にも魔王と称される存在であるにも関わらず、ただ短く次のように書かれているだけだ。
――魔王ルシェリアは大神殿に封じられた。
それから三十年の間、世界は平和であった。
事実、ルシェリアは小さな牢獄から脱走を企てることも暴れることもなかった。
朝、夕と二度出される食事を食べ、それが終われば何をするでもなく目を閉じてしまう。
聖職者の中には密かに彼女と交流をしようと試みた者も居たようだが、ルシェリアは結局のところ返事をまともにすることもなく彼らを拒絶した。
エリオンの処刑から日が経ち、彼が何故ルシェリアと共に旅をしていたのかを察する者も現れ始めたが、結局のところ凄惨な前例故に聖職者たちは現状維持を望んだ。
魔王ルシェリアの魔力は未だに世界に存在していた。
他ならぬルシェリアが生きているのだから当然である。
一方で大神殿の長は魔王は神に平伏したとだけ世界に告げるばかりだった。
エリオンの処刑から三十年が過ぎた。
その年は人類にとって大きな厄災の訪れた年だった。
眠り続けていた火の山が次々に目覚め、炎で出来た川が町や村を焦がした。
降り注ぐ解けない雪が空を覆い、世界そのものを凍えさせた。
凍えた世界の中、作物は枯れ、生き物は死に、挙句に病が蔓延した。
人々は絶望のあまり神に慈悲と救いを希ったがそれが叶うことはなかった。
――魔王ルシェリアは世界を滅ぼすだろう。
予言を人々は思い出す。
そして、確信する。
この災いこそが魔王ルシェリアだったのだと。
魔王は神に平伏したのではなかったのか。
大神殿は批難された。
侮辱された。
その威信を全て奪われた。
多くの神殿が破壊と略奪の対象となり聖職者たちは次々に殺され、殺されなかった者は信仰を捨てた。
そして、その魔の手はやがて大神殿にも及びその過程で魔王ルシェリアが封じられていた牢獄もまた破壊された。
「一体、何があったのですか?」
ルシェリアは暴徒に問う。
彼らは何も言わずにルシェリアを殺そうとしたが、魔王という役割が与えられたルシェリアに傷をつけることは出来なかった。
あまりにも恐ろしい存在に逃げ出す暴徒を見送った後、ルシェリアは開かれた扉を見つめ、さらに何日も姿を見せていない聖職者のことを想い、やがて決めた。
三十年振りに見る外の景色はエリオンと共に旅した世界とのあまりの違いにルシェリアは言葉を失う。
夜かと思ったが夜ではない。
冬かと思ったが冬でもない。
そこかしこに漂うのは死のにおい。
合間に響く嘆きと叫び、そして嘆願の声。
乾いた黒い汚れが血であると気づくのに時間がかかるほどだった。
それほどまでに世界は薄汚れていた。
ルシェリアは考える。
共に旅をしていたエリオンであったならどうしていただろうか。
『ルシェの役割はこの世界を少しでも良くすること。少なくとも私はそう信じているのです』
数十年前の記憶が蘇る。
エリオンはそう言っていた。
ならば、自分のすることはもう決まっている。
ルシェリアは最早、辛うじて形だけを残している大神殿から歩き去る。
そして、二度と戻ることはなかった。
凄惨なる時代の終わりと共に魔王ルシェリアの魔力が永久に失われた。
一説には空を覆う解けない雪が晴れて、世界に日差しが差した時にはもう消えていたと言われるが――どのような関係があるかは分かっていない。
*****
予言と言う不確かなものが世界に根付いていたなど、今では全く考えられない話である。
――魔王ルシェリアは世界を滅ぼすだろう。
この予言は成就することはなく、それ故に予言は世界を形成する要素の一つから失われたのだとも言える。
世界が前に進む度に歴史は古臭く、役に立たないものを捨てていくのだ。
人類が滅びかけた恐ろしい時代を終わらせた女性。
無私にして気高き女性ルシェリアの名を正史は残していない。
大神殿の残骸から現れたことを根拠に彼女こそ神が顕現した姿だと人々が主張したこともあったらしいが、聖職者たちは徹底してその関係を否認している。
まるでやましいことがあるとでも言わんばかりに。
聖職者たちの意図がどのようなものであれ、少なくとも現代において神も信仰も『古臭く、役に立たないもの』になりつつあるのは確かだろう。
なにせ、人類が滅びかけたあの時代に限らず、様々な危難にあっても神は決して答えたりはしなかったのだから。
世界が解き明かされるにつれて神の存在は小さくなり、やがては失われていく。
誰が何をしようとも消えるものは消え去るさだめなのだ。
そして当人が望まずとも残っていくものもある。
魔王として生まれ、エリオンと共に人間として生き、やがて悲惨な時代を終わらせた勇者と称えられながらも、正史に名が一切残らなかった魔王ルシェリアの生涯がそうだ。
彼女は世を去る前にこう言った。
『私が世界を救うのは本当に気まぐれでしかありません。エリオンさんが私の役割を教えてくれたから。ただ、それだけなのです』
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ララト山の頂で私は最期の魔力を解放した。
火の山々を沈下し、疫病を払い、毒を浄化する。
結構な無茶をしてきたけれど、それでも私の魔力はしっかり残ってくれた。
世界に光を戻すだけの力。
「良かった」
魔力の結晶が灰色の雲を消し飛ばす光景を見つめながら私はため息をつく。
足の力が抜ける。
気づけばぶつかる地面。
冷たい大地が温かく感じた。
こんな時代にあっても土の中には命がある。
――安心して。もう怯えながら生きなくていいのだから。
目を閉じる。
人は死んだら神様の下へ行くと言うが、私は一体どこへ行くのだろう?
生前に行いが良ければ悪人であっても神様の下へ行けるというけれど、魔王である私でも行くことは出来るだろうか?
……勇者とさえ呼ばれたのだから期待しても良いかな。
「なんて。馬鹿みたい」
呟き、終える。
全てを。
懐かしい感触に体が震えた。
思わず顔をあげて目に入った姿に私は息を漏らす。
「エリオンさん」
懐かしい姿に問う。
「私、あなたの役目を果たせましたか?」
優しく抱きしめられ、答えを悟る。
安堵し、ようやく笑う。
「良かったです」
*******
予言と神。
そんな不確かなものに支配されていた世界は魔王ルシェリアにより滅び去った。
――故に魔王は確かに世界を滅ぼした。
そうして物語を結ぶのはあまりにも滑稽であろうか。




