ゲーマーへの質問結果 66
アーベルからの不用意な質問に、僕の目が見開かれる。廃人と呼ばれるまでゲームにのめり込んでいた僕に、なんという質問をするのか。止まらなくなるぞ。覚悟はできているのか。知らないぞ?
「勿論だよ。盗賊は索敵、罠に特化した職業適性だと思われているみたいだけど、暗殺者、ローグって呼ばれる職業にまでなれば殲滅騎士よりも更に速度特化にもなれる。そうなると物理攻撃はほぼ当たらないから、場所を選べば最強だね。後は、状態異常特化の毒ローグとかもやばい。対人戦とか、状態異常が効く魔獣には凄い戦闘力になる。殆ど姿を見せずに中型以下の魔獣や暗殺対策をしていないプレイヤーを殺しまくる特化型暗殺者も良いね。他にも……」
「わ、分かった。俺が悪かった」
職業解説が楽しくなってきたところでアーベルに水を差された。口を閉じ、不満であることを視線に込めて見据えると、アーベルが咳ばらいをして首を左右に振る。
「……よく分からんが、魔術師や聖職者、商人も強くなれるということだな。それが分かれば良い」
そんなアーベルの言葉に口を尖らせつつ、頷いて答えた。
「そうだね。僕の考え方だと村の全員が最大まで強くなれば、五人編成でドラゴンを安定して狩れるようになるかな。あ、でも、理想とする装備が手に入らないか。それでも六人か七人いればドラゴンを倒せると思うけど」
「……そ、そうか」
アーベルが若干引いたような態度で返事をすると、そこへ可愛らしい女の子の声がした。
「ラーシュ様ーっ!」
「あ、イリーニャだ」
声のした方向に顔を向けると、村の方から歩いてくるイリーニャの姿があった。笑顔で手を振っているイリーニャ、可愛い。
「昼食の準備ができました!」
「はーい! ありがとーっ!」
返事をして、もう一度森の方向を見た。中型魔獣をあっさりと狩ってみせたパーティーが素材を切り分けていたが、もうそろそろ終わりそうである。
「皆ーっ! お昼だよーっ!」
「はーい!」
声を掛けると、毛皮を剥いでいた皆が手を挙げて返事をした。緊張感に欠けるが、それだけ皆も強くなったということだろう。
「今日のご飯は何かなー」
「今日はお肉が沢山とお魚も少しありますよ」
「最近はずっと魔獣狩りしてたから、お肉が余ってるもんね」
イリーニャとそんな会話をしながら村に戻ると、リネアの騎士達が走ってきた。
「ラーシュ殿!」
「約束の時期だと、王家より使いが!」
慌てた様子で走ってきたヤヌスとティノス。
「あ。そういえば、もう三ヶ月くらい経ったかも」
そう答えると、ヤヌスが拳を握り込み、悔しそうに唸った。
「もう少し……もう少しで、我らも騎士団長と同等の力を得られたかもしれないものを……まさか、もう使者が来るとは!」
そんな台詞に飽きれていると、ティノスまで深く頷いた。
「本当ですよ! もうちょっと待ってくれても良いのに!」
「いやいや、どちらかというと僕を急かす立場だろうに」
苦笑交じりに答える。それに、ヤヌスは眉根を寄せて深く溜め息を吐いた。
「はぁ……いや、確かに。そう考えれば、ちょうど良かったかもしれません。我らが学んだことを伝えれば、テオドーラ王国の騎士団は更に精強になるでしょう」
「おお、そうだ! ついでに、その訓練方法を持って帰ったということで、我らも出世を……」
ヤヌスの言葉にティノスが嬉しそうに同意する。しかし、それにヤヌスが待ったをかけた。
「いや、元の知識はラーシュ殿だ。手柄を横から掠め取るような真似はできん」
と、ヤヌスが低い声で告げる。それにティノスががっくりと肩を落としたが、反論はしなかった。なので、代わりにこちらから反対意見を提出する。
「えっと、できたら二人で編み出したことにしてもらえないかな? こっちもテオドーラ王国の訓練方法を教えてもらったし」
「むむ、それは構いませんが……」
「良いんですか? 多分、ラーシュ殿に剣術の指南役などの話もきますよ?」
二人が首を傾げてそんなことを言ってきたが、それが困るのだ。
「いや、変にスキル習得の知識があると知られても厄介かと思って……」
笑いながらそう答えると、二人は成程と頷いた。
「承知しました」
「ありがとうございます。それじゃ、使者の方に会いに行きましょう。折角だから、昼食も同席してもらおうかな」
「はい、そう伝えておきましょう」
そう言って、二人は先に村の入り口の方へ向かう。それに付いていくと、村の入り口では馬車を含めた団体がお待ちでござった。
「おお、ラーシュよ! 久方ぶりだ!」
現れたのは髭面のフルプレートメイル騎士、ドラスだった。リネアの護衛をしていた近衛騎士団長だった筈だが、もしかして左遷されたのだろうか。
そう思っていると、馬車の方から金髪の美女が顔を出した。
「あ、ラーシュ! なにゆっくりしているのよ!」
「え? リネア? どうして?」
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