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僕の職業適性には人権が無かったらしい  作者: 井上みつる/乳酸菌/赤池宗


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強化月間  64

 我が村、グランドールは変わった。


 村人達のスキルから考察する限り、レベルは六十から三十になり、十五歳以下の子ども達であってもレベル三十前後になった筈だ。


 そして、アーベルやミケル達はレベル七十相当である。このペースなら一年で上級職になることも可能かもしれない。


 更に、ここまで村人達の戦闘の様子を観察してきたことで、戦術の幅も大きく広がった。真正面からの攻防に強い戦い方や、相手の撹乱を狙う戦い方、地形を利用した戦い方や退却戦など、各職業適性を活かした戦法が学べた筈だ。


 ついでに、リネアの残した騎士達もかなり強化されている。


 多分、この村に来た時はレベル三十前後だった筈だが、今はレベル五十相当だろう。スキルについても二つ習得している。この効果は大きく、個人の戦闘力としては三倍近い戦力アップになったと思う。


 うむ、大満足の結果だ。


「村長! 中型魔獣を二体狩ったぞ!」


「素材を切り分けるのが大変だな!」


「わっはっはっは!」


 そんな声が毎日聞こえてくるようになり、どの班も中型魔獣を何体狩れるかという勝負に変わってきていた。


 戦士や弓使い、盗賊が主となっているが、聖職者や魔術師もかなり強くなった。特に、たった一人の魔術師が高威力の魔術を覚えた為、一緒になった班は大戦果を上げることが多い。聖職者がいれば安定感が増す為、こちらも大人気である。


 唯一厳しい状況なのは商人だけだ。商人の三名は援護攻撃をしながらレベリングをし続けているが、中々強くなった実感を得られないことだろう。


 いつか、その努力が報われる日が来ることを祈るばかりである。


「中型魔獣になると傷一つつけられない……」


「戦闘用のスキルってもっと覚えられないの?」


「一回の狩りで限界なんだけど、どうすりゃ良いんだ?」


 商人の皆からは悲痛なご意見が幾つも届いているが、僕にできることはドンマイと言い続けることだけである。メンタルケアも限界がある。


 ちなみに、商人は材料さえあれば色々と作り出すこともできる。そんなこんなで、村の為に家具や日用品を作り出すことができたら、皆自己肯定感を高めることができるようになるだろう。


 さて、不遇な者たちはともかく、この村の戦力を見たリネアの騎士たちは大いに驚愕した。


 何度か狩りに同行してもらい壁役をやってもらったが、魔獣をスムーズに狩っていく村の若者達を見て驚いてばかりだった。


「あの魔獣を、矢一つで……!?」


「攻撃面だけではないぞ。この深い森の中で、魔獣の気配を察知する能力……それに、気配を断つ技術もだ」


 どうやら、もし騎士団と戦うことになったらということも考えての動揺のようだ。確かに、この騎士達がテオドーラ王国の精鋭じゃなかったとしても、多分同人数ならば負けないと思う。


 なんなら、戦い方次第では五百人を相手にしても互角に戦える自信がある。


 とはいえ、近隣では最強の大国たるテオドーラ王国がどれほど強いのかは気になった。


「テオドーラ王国の騎士団には弓使いとか魔術師、聖職者ってどれくらいいるの?」


 気になったらすぐ聞いてみる。それがラーシュ君である。美少年パワーを存分に発揮し、上目遣いに質問をした。すると、若い方の騎士が少し頬を染めながら頷いて答える。


「え? あ、そ、そうだな……戦士が半数くらいだったから、多分弓使いが三割、魔術師と聖職者が一割ずつじゃないか?」


「へー! 盗賊の人はいないのかな?」


「それは諜報機関だから、俺もあんまり……」


 若い騎士がそう答えると、少し年上っぽい騎士が眉根を寄せる。


「馬鹿、話し過ぎだ」


 一言注意され、若い騎士はハッとして口を閉じた。それを尻目に、年上の騎士に声をかける。


「えー、別にこんな小さな村の中でくらい大丈夫だよ。あ、そういえば、二人ともそろそろ三段切りの練習とかどうかな? もしかしたら覚えられるかも」


「さ、三段斬りだと!?」


「ほ、本当か?」


 交換条件にどうかと思ったが、想像以上に効果的だった。二人は前のめりになって聞き返している。


「三段斬りは確かに覚えるのが難しいかもしれないけど、そんなに気になる?」


 そう尋ねると、若い騎士が深く頷いた。


「そりゃそうだ! 三段斬りってのは百人長以上の騎士が覚えているような上級スキルだ。むしろ、それ以上のスキルは習得している人がいないから、実質最高峰のスキルだと言えるだろう」


 興奮した様子でそう言われ、なるほどと首肯を返す。


「そうなんだね。じゃあ、二人とも凄く強くなって帰れるってことだよね。それじゃあ、少しくらい教えてくれても良いかな、と思うけど」


 そう言って微笑むと、年上の騎士も溜め息混じりに同意した。


「……仕方ない。ならば、最低限の情報のみだ。何が聞きたい?」


 観念した様子の二人に、思わず笑みが浮かぶ。


「ありがとう! それじゃ、普段はどんな訓練をしているか、からだね」


 そう告げると、二人はあっさりと騎士の訓練内容を話してくれたのだった。ちなみに、若い騎士はティノス、年上の騎士はヤヌスという名前である。

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― 新着の感想 ―
ヤヌスの鏡……
全員のレベル帯が30~60になった、の意味だと思われたり。 知らんけど。
>村人達のスキルから考察する限り、レベルは六十から三十になり、十五歳以下の子ども達であってもレベル三十前後になった筈だ。 レベルが減ってるは正しいのですか?
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