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僕の職業適性には人権が無かったらしい  作者: 井上みつる/乳酸菌/赤池宗


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村改造中に来客? 54

『僕の職業適性には人権がなかったらしい』一巻!

11月28日に発売決定です!・:*+.\(( °ω° ))/.:+

皆様、ありがとうございます!☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆

是非、書店で手に取ってみてくださいね!・:*+.\(( °ω° ))/.:+






 川から水路を引く作業はなんと一日で完了した。それなりの距離だったはずだが、戦士の二段斬り、三段斬りや、盗賊の穴掘りなどのスキルであっという間に水路が出来た。ちなみに、魔術師のスキルも有用だったが、残念ながら魔力がすぐに切れてしまう為、思ったより作業には貢献できなかった。まぁ、仕方あるまい。


 僕の魔導操兵も使えるが、残念ながら長時間は厳しいということで保留である。


 川から水が流れ込み、村の中を通してから再び川の下流へと戻す。水路の幅は一メートル半ほどだが、村の規模からすれば十分である。その水路が完成しただけで、村人たちは大喜びだった。簡単な石の橋を幾つか設置して水路の上を往来できるようにしたが、子供たちが走り回って遊んでいる。


「これは便利よ!」


「水が好きなだけ使えるのは嬉しいわ」


 女性陣からも高評価である。嬉しい。


 そんなこんなで、家に引き籠って村の改造計画を練りながら、イリーニャの聖職者としての熟練度向上を手伝っていた。


「後は、やっぱり防壁かなぁ。防壁があっても夜間警備は必要だけど、少しは余裕ができると思うんだよねぇ。あ、でも、早く家ももっと良くしたいし、せっかく魔術師がいるからお風呂も作りたいなぁ……」


 考えれば考えるほど、村には足りない設備が多くある。なんなら調味料とかも欲しいし、家具も欲しい。どうしたらその辺りが素早く充実していくか。防壁に関してはすぐにできるだろうが、家を建て直すのは流石に難しい。きちんと技術を持つ者がいないと、結局半端な家ができるだけだろう。


 なにせ、いつでも移動できるように簡易的な家ばかり建ててきた獣人達は、家というのはこんなものという認識である。もちろん、ハーベイ王国やテオドーラ王国で生まれた者もいるが、森の中で贅沢は言えないという雰囲気がある。


 衣食住。これらの水準を早急に上げたいところだ。森の中だからと諦めてはいけない。


「とはいえ、人材は難しいかなぁ……」


 頑張れば二週間に一回、森の近くの村に行くことができる。しかし、精々物資を購入するくらいだ。流石に危険な森の中に大工や家具職人が来てくれるわけがない。


 武具や衣服、食材、調味料は魔獣を売って買うことができるが、それ以外は難しそうである。


「仕方ない。とりあえず、村を囲う城壁作りかな?」


 色々と考えた挙句、結局最初の案に戻ってしまった。隣で聖職者の熟練度を上げようと頑張っているイリーニャに声をかける。


「おーい。イリーニャ?」


「……あ、はい? 呼びました?」


「呼んだよ。良い集中力だね。魔力循環は楽になってきた?」


「す、少しずつですが……」


 進捗について尋ねると、イリーニャは眉根を寄せて難しい顔をしつつ頷く。


 聖職者の熟練度を上げる一つのやり方に、体内で魔力を循環させるというものがある。スキル名に奇跡だったり祈りだったりと信仰心にまつわる単語があるが、結局は聖職者のスキルも魔術に近い。


 治療する為には対象の体に魔力を流し込み、決まった流れで全身を循環させ、活性を高める必要がある。LOGではこれを血管になぞらえて紹介していたが、この世界ではまだそこまでのイメージはされていないようだ。


 ゲーム中では現代の知識である科学や物理、医療を基にした修練方法が多かった。また、戦士や弓使い、盗賊などは武道、商人には四則演算や交渉術といったものを使った修練をして熟練度を上げるものもある。


 こういった知識はゲームをしていた者には一般的に知ることのできる攻略情報だったし、それぞれのスキルを習得するための条件なども当たり前に知られていた。


 しかし、この世界では違う。職業適性ごとのそういった知識は各国で研究しているものの、全て重要な機密情報として扱われていた。そのせいで、ハーベイ王国は戦士のスキル習得に優れていて、テオドーラ王国は魔術師と聖職者、ムンド皇国は弓使いの研究が進んでいるといったバラつきがある。


 そういった知識は貴重な為、各国でも貴族以上しか知ることができないのが一般的だ。


 よく考えたら、アーベルはけっこう最初から僕のことを貴族ではないかと思ってそうだった。それはそういった知識部分からの推測だったのではないだろうか。うむ。


 そんなことを考えていると、こちらが家を出る前に何者かが尋ねてきた。


「ちょっと良いか」


「おや」


 現れたのはアーベルだった。顔を覗かせて僕とイリーニャを順番に見て口を開く。


「ラーシュ。客人だ」


「おきゃくさん? え? ここに?」


 アーベルの言葉に思わず目を瞬かせる。最近、森の中なのにやたらと人の出入りがあるのだが、気が付かない内に森の開拓が進んでいるのか。


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