何も言わない石ころの独り言
短い作品です。
僕は石ころ、公園の片隅にずっと何も言わ動かずここにいる。
ある日、向こうから20代後半の女性がやって来た。
彼女は目の前にある、捨てられていた、ビニール袋に包まれていたゴミに気づいたのか、
「わぁー汚い、こんな所に誰」と言いながら
2、3歩 横に避けたけど、そこには たまたま犬のウンコがあって踏んでしまった。
人生って以外とそんなものかなって、僕は僕で思ってたけど、彼女の憤りが僕自身にも伝わってくる。
彼女は周りを見渡し、手頃な石は無いか捜しているみたい。
案の定、石ころの僕を見つけ、ツカツカと寄ってきて、僕の危惧した通り、自分の靴の裏を
僕に何回もこすりつけて行った。
自分が汚いと思ったものを他に擦りつける。
何故なら僕は何も言わない石ころだから。
やはり、人生ってこんなものか。
僕は僕で次に雨の降る日を待ち、洗い流される日を待つしかない。
でもね、雨の日にいつしか、彼女はきっと、その石ころに蹴つまづいて、転んで大怪我をする。
何もそんなこと望んでないけど、多分人生って、そんなものかなって思っている。