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刀身のように細く煌めく三日月の夜

作者: 山本大介
掲載日:2023/12/14

 討ち入りの日は月がでていた。

 果して・・・三日月だったかはさておき、お話を書いてみました。

 

 刀身のように細く煌めく三日月の夜。

 しんしんと雪が舞い散る中、吉良邸の前に立つ赤穂浪士四十七士たち。

 次々と白い息が闇夜に浮かんでは消える。

 月明かりが積もる雪に照らされ、夜とはいえ、はっきりと皆の表情が見える。

 強い決意に満ちた、覚悟を決めた顔々。

 大石内蔵助は、凛とした張り詰めた冷たい空気を吸い込むと告げた。

「各々方、決して油断召さるな」

 応と頷く一同。

 内蔵助は吉良邸の門へ、静かに采配を示した。

「狙うは吉良の首ただひとつ・・・太鼓鳴らせいっ」

 ドンドンドン。

 ドンドンドン。

 澄んだ漆黒の世界に、静穏を打ち破る不協和音が吸い込まれた。

 時は今。

 我らの悲願を果たす時。

「鬨の声をあげよ」

「うぉーっ!」

 皆の魂が震える。

「討ち入りじゃあ!」

 解き放たれた志士たちの、怒りと悲願果たす月夜の舞台。



 



 ・・・・・・。

 ・・・・・・。

(すげぇ、臨場感。これが「激!赤穂浪士2023」かっ!)

 俺は心の中で、そう呟きメモリーセーブをしてVRゴーグルを外そうとした。

(・・・外れないっ!)

「行け行け行け行けぇい!」

 俺は大石の怒号に後押され、仲間たちと共に吉良邸へ猛然と突っ込んでいく。

(・・・なんで)

 ・・・・・・。

 ・・・・・・。

(いやいやいや)

(そうだった!)

 そう、俺は殿の御無念をはらす赤穂浪士の一人なのだ。



 彼の運命や如何に。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 没入感の高いVRから目覚めないのは、確かに危なそうですね。 オマケに本人も赤穂浪士になり切ってしまったのですから、余程の事がない限り覚めなさそうです。 件のVRが吉良公を討ち取る所でEDな…
[良い点] 前に山本様の別の話で、主人公が「口に合わぬ!」だったかと思うのですが、あれ言った瞬間、「くはあ〜〜〜っ!! マジ最高!!」と思ったのです。 あの瞬間の爽快感というか感動というか、前半部分…
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