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6.失う

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不愉快で仕方なかった

リズはお気に入りではあるが特別では無いはずだった

ただ女がここまでくるには並大抵の覚悟ではなかっただろうと1種の尊敬の念を抱きもしたがそれだけのはずだったのに

イサークと語らう彼女は可愛くて……無性に腹が立った


「くそっ」


久しぶりに飲みに来たのに全然酔えない

それどころかイサークと呼ばれた男に抱きついた笑顔のリズが思い出されいらだちがさらに募った


その日からテオバルトはリズと距離を置き始めた

後に後悔することとなるのだがそれは今のテオバルトにはわからぬ事で、ただ今はリズと冷静に話せる自信が無くなっていた


だから気が付かなかったのだ

帰らなくなったあの部屋でリズが声を押し殺して泣いていたことにも、笑顔が減っていく彼女の様子にも


気がついた時にはそれは手からこぼれ落ちているものである


帰らなくなったと言っても荷物は部屋にある

だからたまには部屋に行く必要がある


激昂したリズの声は珍しくテオバルトは部屋の前で佇んだ


「いっくん……なんです……だから」


所々しか聞こえないが部屋にはあの男がいて感情的な彼女がいる



自分とリズの部屋にあいつがいる



それだけで部屋に入らずその場から離れた

少し考えれば、リズが激昂していることもおかしいし、わざわざ部屋で話すのもおかしいと分かるはずだった

だがそれは冷静ならと前置きがつく


訓練中も必要最低限しか会話しなくなった

その日もそうだと思っていた

それでもリズは毎日来ていた

聞きたいことがありそうな表情、呼び止めようとしていた仕草、それらは毎日あった


だからバレリオが言うことが理解できなかった

否、理解することを脳が拒んだ


「リズが辞職届けを出した」



もつれそうな足に叱咤する

部屋に行けば荷物があって、彼女がいるはずで

その気持ちが焦らせるが部屋までの距離が今日は遠く感じれた


バン!と部屋の扉を開ける


しんとした部屋にはテオバルトのもの以外は何も無かった

その日リズは消えてしまった

見て下さりありがとうございました

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