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28.テスト

見に来て下さりありがとうございます

緊張しすぎるとお茶も喉を通らないのだとリーゼロッテは身をもって知った


マナーを見られていると思うと全てが間違っているように思えてギクシャクとしてしまう

そもそも一般的な令嬢としても遅れているのに、王子妃になるためのマナーなど無理に近しい


「リーゼロッテ様、そんなに緊張なさらないでも良いですよ。リオ坊っちゃまから聞きました。運動障害のせいで少し無作法になるかもしれない、と」


リオ坊っちゃまというのはベルドリオのことだろう

彼の顔が目に浮かぶ

肩の力が抜けたようになる


(嘘ではないけれど、本当でもないわね……。 私が騎士見習いをしていたのを知ってるからこっち方面は苦手だとバレてたってわけかしら)


少し恥ずかしいが彼に気遣いは助かった


不器用ではないが綺麗なとも言えない仕草

ギリギリ及第点というのが本来の成績だろうが、障害の残る体を叱咤し頑張った儚い令嬢という印象を与えたらしい




王城の裏には湖があるのだが、散策をしてくださいと言われとりあえず日傘をさし、湖を眺めた


(令嬢の散策ってなに? そもそも散策にマナーがあるの? え、なにすればいいの??)


表情に出さず湖の周りを歩く



このテストはいきなりの無理難題を突きつけられても表情を変えずに乗り切るというものを見たものである


ちなみにセレスティアは湖のほとりの日陰で休憩をして終わったらしいが、リーゼロッテにはどうすればいいのか分からず言われた通りにしてしまう


暑い日差しの中歩く儚い令嬢が健気に難題をこなそうとしているように見えてマナーを見ていたはずの侍女達は心でリーゼロッテを応援していたらしい




1周を1時間以上かけて歩き戻った瞬間、リーゼロッテは傘を投げ出し湖に駆け出した


あまりの出来事に周りが動けずにいると湖のほとりで何かを手に取り戻ろうとした瞬間バランスを崩し湖に落ちてしまった


「っ……うっ……ぷ」


急に深くなっていた場所らしく足が届かない

ドレスがまとわりつく

運動障害のせいか泳げず息ができず藻掻く


「リーゼロッテ様!!」


護衛は離れていたため対応が遅れる


そんな中様子を見に来ていたベルドリオが躊躇いなく湖に飛び込んだ


「リジー!っ、すぐに、陸にあがる、からな」


水の音とベルドリオの声が聞こえる

もう力が体から抜ける



(ルドの、くれた、本が……)


抜けていく力

けれど湖に投げられていた自身の本を拾った事に後悔はない

なぜリーゼロッテの本があんなところにあったのか分からないがこれだけは離さないとしっかりと握りしめる



意識を持っていたのはそこまでだった

引き上げられ、すぐに医務室に運ばれたと聞く

目の赤いベルドリオに怒られるのはそれからすぐのことである

本日2話投稿予定です

良ければ次の話も見てください

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