表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/32

26.宝物

見に来て下さりありがとうございます

ベルドリオに誘われ観劇に向かう


騎士と姫の物語をみてリーゼロッテはワクワクした

沈んだ心が浮きだった


「リジーが楽しんでくれて良かった、こんなことで詫びにはならねーけど、な」


銀髪をかきあげながら言うとベルドリオはバツの悪そうな顔をしていた


「私のために……ありがとうございます」


劇場を出たあとは街をぶらついた

護衛が数人いたが彼はリジーと呼んだ

優しい声に返事をすると彼は嬉しそうに微笑んだ


「ベルドリオ様、あちらの書物屋に寄ってもよろしいですか?」

「……ルドだ」


ムッとして言われ目を瞬かせる


「あの、ベルドリオ様……」

「ルド」


ムスッとしているその表情は拗ねているようで可愛いかった

だからクスッと笑ってしまう


「あの……ルド、書物屋行きませんか?」

「ああ、行くか」


小さくルドと呼ぶと嬉しそうに返事してくれた

むず痒いようなそんな時間だと思う



先程の劇の題材になった物語は小説や絵本にもなっていた

小説を手に取るとベルドリオがひょいと取り上げる


「ルド……?」

「買ってやる、なにかアクセサリーと思ってたけどお前が好むものの方がいいからな」


その真っ直ぐな言葉に嬉しさが込み上げてきた


「ありがとう、ルドの気持ちが嬉しい」


口調を崩すとベルドリオがニカッと笑った


その本はリーゼロッテにとって宝物になった




数日後の貴族令嬢のお茶会にもそれを持っていっていた

庭園で開かれたそのティーパーティーは数十人の令嬢が集まっていた


一通りの挨拶が済んだところで木陰のベンチで本を広げる

内容が好みというのもあるがベルドリオに買って貰ったこの小説はお気に入りで何度も読み返していた


「リーゼロッテ様、ごきげんよう」


熱中していた本から目をあげるとセレスティアがいた


「セレスティア様もいらっしゃってたのですね、ご挨拶遅れ失礼しましたわ。ごきげんよう」

「熱心にご覧になられてましたわね、それは……騎士物語ですか?」

「ええ、騎士の姫へも忠義、姫の騎士への思いが私のお気に入りですの」


そんなたわいもない話をしているうちにお茶会は終わりを告げた



令嬢の集まりはリーゼロッテは苦手だった

貴族令嬢としての知識が乏しく、会話も何を言えばいいのかよく分からないからだ

それでも出席したのはもう令嬢なのだと自分に言い聞かせるためでもあった




翌日にはまたベルドリオに会うことになっている

それを楽しみに頑張ったのだと思う気持ちに苦笑する


(どこまでも彼に甘えてるわね)


婚約者候補となってもうすぐ1ヶ月だ

セレスティアとリーゼロッテの2人が王城に呼ばれたのだ

婚約者候補の中間テストみたいなものだろう

セレスティアは元王太子の婚約者とあって気品もあり知識も多い

比べリーゼロッテは付け焼き刃である

王族の侍女長が明日はマナーを見るという

不安でいっぱいだがベルドリオのためと思うと頑張れる


本をバスケットに入れると明日の用意に取り掛かる


少し動きやすい軽量のドレスにしたのは暑さが増してきているからだ

質素になりすぎないようにアクセサリーも考える


最終的に侍女であるダイヤとミーナに任せたが自分も選んだという体裁が必要なのだ


(貴族って面倒ね)


だれにも言えない愚痴を1人ごちる

もしかしたらベルドリオなら分かってくれるかもしれない

そう思うと少し気が楽になった

読んでくださってありがとうございました

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ