24.クッキー
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読みに来て下さりありがとうございます
屋敷に戻ると侍女の1人が慌ててメモを渡してきた
ベルドリオが訪問していると知りイサークとはその場で離れた
移動中に事情を聞く
約束は明日だったが用事が出来て本日訪れたらしい
先触れが馬の調子が悪くなり遅れたためベルドリオが突然訪問した形となった
(それでも王族を待たせるのは失礼だわ……ルドなら許してくれそうだけど)
客間の扉をノックする
1度目は返事がなく、少し待ってもう一度ノックをすると今度はどうぞとベルドリオの声がした
「お待たせしてしまいました、申し訳ございません」
「いや、急に来たのは俺だからな。すまん」
少し暗い表情に戸惑う
「あの、庭でも歩きますか?」
「……庭か、いや、そうだな、行こうか」
何か思うような仕草に失言したかと思うがそうではなさそうで首を傾げた
護衛は庭のあちこちにいるが声の届く範囲には居なかった
それを確認するとベルドリオが声を出す
「リジーは、あの騎士と今でも仲がいいんだな」
「あの騎士、とは? イサークの事ですか?」
「……ああ、そういう名だったな」
仲がいいかと聞かれても接点はそんなにはない
今日だって久しぶりに会話したほどだ
「幼馴染なので会話はしますが、特別な仲ではないですよ」
言い切るがベルドリオは納得してないようだった
「そんなふうに誤魔化すな、って違うな、こんなこと言いに来たんじゃねーし。この話題は終わろう、俺から言い出したのに悪ぃな」
「……はい」
嫉妬かと勘違いしそうになりリーゼロッテは首を振った
違う違う、婚約者候補としての質問に違いない
そう思うと少し胸が痛い気がした
そこからは庭を回ったあと屋敷で歓談しながらお茶を飲んだ
ベルドリオは意外と甘いものが好きなようで少し可愛いと思ってしまった
数日後に会う時に手土産にするお菓子を作ろう
そんな乙女チックなことを思う自分に苦笑する
明日は1日予定が空いたから練習しよう
(ルドなら喜んでくれるよね)
料理なんてしたことないけれど、もし失敗しても彼ならきっと笑って受け取ってくれる
翌日の練習はケーキを作ってみたけれど、失敗が多く料理長の勧めで簡単なクッキーを作ることにした
型抜きも結構楽しく没頭するうちに日が沈んでいた
練習で作った大量のクッキーは使用人に分けたけれど評判は良かったので本番が楽しみでならない
数日後、数回失敗したがよく出来たクッキーをラッピングしたものを持って城へと向かった
失敗したクッキーもバスケットに入れて持ってきた
途中護衛に失敗したけどまだマシなクッキーたちをお裾分けするとベルドリオの元に足を進める
扉の前でどきどきと高鳴る胸の音を落ち着かせたくて息を吐く
ノックの音が響くと奥からベルドリオの声がした
数日ぶりだというのに懐かしい気がする
部屋に入ると2人でお茶を始めた
歓談の中いつクッキーを渡そうと思っているとベルドリオが不機嫌そうに口を開いた
「イサークという騎士に差し入れを持ってきたそうだな」
何を言われているのか分からず思い返す
護衛にクッキーを渡した時確かにイサークがいた気はする
「あれは、ちが……「俺はついでか」何をおっしゃって!」
浮きだっていた心が沈んでいく
責められて涙が浮かびそうになる
だめだ今泣いている場合ではない……そう思うとラッピングしたクッキーを持ち出す
「ルドに……持ってきました。失敗を護衛に渡しましたが、そちらがついでです。わた、私は、ルドに喜んで、もらえるって」
言い終わる前にぽつりと涙がおちる
「こちらは置いておきます、捨てられても構いません。本日は失礼させていただきます」
クッキーを机に丁寧に置くと部屋をでた
リジーと聞こえた気がしたがもう涙が止まらなかった
慌てて部屋を出ると俯いて馬車まで走った
リーゼロッテは今日を楽しみにしていた
それだけに心が軋む
この日帰ってからも部屋に閉じこもり泣いて過ごした
なぜこんなに心が軋むのか、蓋が開きかけていたのだとしっかりと鎖で雁字搦めにした
読んでくださりありがとうございました




