18.お茶会は始まらない
来て下さりありがとうございます
リーゼロッテが内庭に着くと薔薇園に素敵なティーセットが用意されていた
セレスティアは薔薇園を少し憂いを帯びた表情で見つめていたので妙に気になった
もしかしたらベランド王太子と訪れたことがあったのかもしれないと思うと心が痛む
王子2人はまだ来ない、執務が難航しているらしく数時間かかる可能性もあるとの事だった
だからセレスティアに声をかけれるのはリーゼロッテしかいなかった
これは偶然か、それとも悪戯心で訓練着などを持ってきた罰か……
セレスティアが小さき悲鳴をあげた
そこに居たのは40から50cmほどの蛇である
こんなところになぜ
セレスティアが危ない
護衛に声をかけなければ
色々思うことは多かったが大きく距離を取ろうとセレスティアが動いた時蛇も動いた
それはとっさの行動だった
セレスティアに襲いかかる蛇の前にリーゼロッテは庇うように立った
(熱い、左手があつい)
蛇に噛まれたと思うより前に痛いと言うより熱さを感じた
毒が回っているのか気が遠くなっていく気がする
その中で見えたのは護衛によって倒される蛇と保護されたセレスティアの姿だった
数時間後客間でリーゼロッテは看病を受けていた
意識はあるものの体に力は入らず、高熱が出て、噛まれた左手首は大きく腫れ上がっていた
バンと大きな音がして部屋のドアが開いた
「ベルドリオ殿下、治療中ですので……」
侍女の止める声も聞こえないようにリーゼロッテの近くに進むと無事である右手をとる
「大丈夫だ、俺がついてる」
まるで自分に言い聞かせているかのように願うように呟いた
噛まれてすぐはよろけながらも受け答えはできていたのに今は声も出ない
あれから数時間
執務が終わったベルドリオの耳に届いたのはリーゼロッテが倒れたとのこと
早足で客間に向かいつつも容態を聞いて、倒れてから数時間たってたこと、それまで報告がなかったことに憤りを覚えたがそれよりもリーゼロッテが優先だと歩みを進めた
蛇に噛まれたと知ったのはさらに主治医に知らされた
後遺症として運動障害が残るかもと聞かされた
翌日治療の甲斐あってリーゼロッテは快方に向かった
お茶会は後日改めてとなった
客間のベッドの上リーゼロッテはぼぅっと遠くを眺めた
体が重く思ったように動かないのは病み上がりだからだろうか
確かめたくて不安で荷物を持って重い体を引きずって歩みを始めた
どこに向かうと決めていた訳では無いがただ不安で怖かった
場内を出ると訓練所が見えた
今日は休みなのか誰もいない
近くの更衣室で着替えると木刀をふる
1度、2度
違和感は確信に変わっていく
何度も何度も振る
体が動かない
一心不乱に木刀をふるい続ける
「ふっ、はぁ!」
思い描く自分の剣術が消えていると気がつく
それでも、もしかしたら次こそと振るう
「リジー!」
誰かの呼ぶ声がする
自身をリジーと呼ぶのは2人しかいなかったはずだ
ゆっくりと振り向くと思い描いた2人ではなくベルドリオが立っていた
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