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16.舞踏会(ベルドリオ目線)

見に来て下さりありがとうございます

散策後セレスティアの見舞いに庭園の花を数本花束にして持って行く

セレスティアは微笑み受け取った


婚約者になると決めたもののそれも時間をかける必要がある

候補は2人いるのだから公平に会っていると言う装いだけでもしなくてならないのだ


(リズ……いやあの野郎と同じ呼び方はムカつくんだよ、りーぜ? いやしっくりこねーな)


ベルドリオは表情に出さず悩む

リーゼロッテをリズと呼ぶイサークを見てからモヤモヤする

護衛任務に着いていた1人にイサークがいて庭園からの帰り道で出会った

その際リズと口が動いたのが見えた瞬間ムッとした自覚はある


(人の婚約者候補にベタベタすんなと言えばいいのか、いやいやいや、問題を起こすのはまずい。王位を蹴るには問題児と思われるべきだが廃嫡は早い、リュー兄貴の気持ちも大事だ)


長い廊下を無言で歩く

2人ほど護衛がついてきた

イサークは第2王子付きらしくこちらには来なかった


(そもそもリズも可愛くなりすぎだ。なんだあれ、かわいすぎだろうが!)


リーゼロッテと再開してからずっと思っていた事だ

男装していても可愛かったのだから装いをきちんとすればそれはとんでもなく可愛いに決まっている

そう結論が出たから再開した時に気をつけるように言ったのだ


(くっそ、イタズラが成功ー! みたいな小悪魔な笑いも誰かに見られたらどうするんだ! 誘拐されっぞ、まじで)


リズが消えてから探すも登録されていた家は売りに出されており、仲介は公爵家と付け入る隙はなく、途方に暮れているとこに訃報が舞い込み、落ち込むももう1人の兄の世話が残っていると自身を奮い立たせ、行動に出たらものすごい美少女になったリズと再開した


(リーゼロッテ嬢は少し変わっていると噂で聞いていたから話てみようと思ったが、まさかのリズ! めっちゃ可愛いし!)


ベルドリオだって女性経験がない訳では無いし、見た目は麗しく、女性に飢えていた訳でもない

だからリズを見る目は正当なものである


ただリズの必死さが昔の自分に重なった

それがきっかけで気になっただけだった


気になれば目で追うし、しっかり見れば可愛らしい顔立ちも分かる

そう言えば母はまやかし系の魔法具を無効化する特別体質でそれがきっかけで占い師になったが、ベルドリオも遺伝していてもおかしくない

そう考えたらもしかしたら女と認識できなくなる魔法具を使っていた可能性も出てくる

それならば納得である

あの可愛いリズが男と思われていたのが不思議であったが対策の末ならとうんうんと唸る





「お時間になります、リーゼロッテ嬢とセレスティア嬢は先に会場入りなさる予定になっております」


唸るベルドリオにも動じないあたり執事の教育は素晴らしいと思いつつ舞踏会の会場に進む


一通りの教育は受けているから踊れるが踊るより剣を交えた方がスッキリする


ただリーゼロッテのファーストダンスを他人に取られるのは癪に障る


(リズは俺の一番弟子だからな)


そんな思いでずっと拒んでいた王家の正装をする

王家の刺繍の入ったジャケットがお前も王族だと言われ重圧がのしかかるようで体が重くなったように感じた


けれど


(リズだって公爵家に戻る決意をしたんだ。師匠の俺が弱音吐いてどーすんだって話だよな)


そう思った瞬間少しだけ体が軽くなった気がした



光が溢れる

入場を告げる音が響く


ベルドリオは1歩踏み出した

少し離れた場所にリーゼロッテがいた

目が合うとふわりと微笑みかけてくれた


(くっそ、かわいーじゃねーか)


散策した時とは変わって華美なドレスを身にまとったリーゼロッテは一段と麗しかった


緊張も吹っ飛び、王へ挨拶もそこそこに、リーゼロッテとセレスティアのまつテーブルに移動する


しばらく歓談したがほとんど内容は自己紹介である

デビュタントであるリーゼロッテは当然の事ながら、お披露目されていなかった第3王子、お互い知らないもの同士なので当然である


「セレスティア嬢、今日はリーゼロッテ嬢のデビュタントでもありますゆえ先に彼女を誘う非礼を詫びます。そしてリーゼロッテ嬢、ファーストダンスの栄誉を俺にくださいませんか?」


音楽が始まると挨拶に来ていた貴族もばらけだした

そこでベルドリオは2人に声をかけた


「あら、ではあちらで待ち申し上げておりますね」


セレスティアはそれだけ言うと王族のいるエリアに行った

下手にダンスに誘われないようにするためなのか、ベランドと出席していた過去の舞踏会の行動だったのか、2人には分からなかった


「ベルドリオ様、ぜひお願い致しますわ」


にこりと微笑み手を出すリーゼロッテ

手を取ると2人でフロアに移動する


さすがにプロ級とは言わないが見習いをしていただけあって体の使い方がリーゼロッテは上手い

ベルドリオは剣の方がいいと思うが踊りが下手な訳では無い

2人のダンスは蝶が舞うように軽い羽ばたきに見えた

ふわりとドレスが揺れる

それが不自然さがまるでないのである


1曲が終わる


(さすがに婚約者でもねーのに2曲目は申し込めないな……けど、リズが他の野郎と密着するのは許せねーし……王族エリアに避難するか)


2曲目をリーゼロッテに申し込もうとする男たちを視線で牽制しつつ移動する


この独占欲がなんなのかベルドリオは知らない

母は父を恨みながらこの世を去った

俺を城内に召し上げたのは生まれてすぐだった

しかし母は平民出身という事で離れを賜った

俺と母は数日しか一緒に過ごせなかった


あれは7つになった頃だ

母と偶然に再開した

同じ銀髪が印象的で乳母に誰かと問うた

母君様ですよ

それを理解出来なかった

ただ母はベルドリオを見て泣き出し抱きしめた


暖かい抱擁、母親という存在、ベルドリオには初体験ばかりで時間が取れる限り母の元に通うようになった

数ヶ月も経てばベルドリオは母を慕いだした


離れには侍女も数人しかおらず、しかも侍女は母の世話はしていなかった


母が体を壊したのはこちらに来てすぐの事だったそうだ

もう7年も経っていた

儚い母の笑みを守りたくて辺境に移住することになったのはベランドが王太子になると決まったからだった

王位継承権第1位と言えど立太子はまだであった

そのため王太子になる可能性のある王子は大事に育てられた

しかしその影で泣いていたのは己の母であったと知った時大きな衝撃を覚えた


辺境にただ行くと言っても誰も賛成はしなかった

だから兄たちと話していた騎士の話を持ち出した

王子という身分に甘えず誰も知らないとことで力をつけたい

それが父の心をうったようで認められた



母と侍女数人と暮らす家は王家の持ち物にしては簡素であったが母は嬉しそうでその笑顔はひまわりのようだった

騎士学校が終わったら真っ直ぐ帰ってその日の出来事を告げると嬉しそうに聞いていたのが印象に今でも残っている


そんな母も長い間病気を放置されていたことが祟りベルドリオ12歳の冬に他界した

見習いになって母に報告した時には既に意識は無かった


それからは騎士を目指すのは義務のように感じていた

だから王都に帰った時に見た天才の存在のせいで自分の存在意義を失った

母もいない

兄たちはもう自身を守れるだろう

ベルドリオの心の影を深くしていった


そもそも父が母を大事にしていれば


そんな不敬な考えもよぎるようになった

だから思春期になってもベルドリオは恋愛など自分とは無縁だと思い込んでいた

母を見初めたはずの父は王妃と側室の元に戻ってからは母の元に訪れなくなったらしい

母も父を求めはしなかった

そんな両親をもったベルドリオがまともな恋愛観などあるはずもなく、夜遊びはしても本気の恋愛など出来ないと思った


だからリーゼロッテへの想いもよくわかっていなかった


過去の自分を見ているようだから?

一番弟子だから?

可愛いというのは何故だ?見目麗しい令嬢は他にもいるだろう?


そんな問いかけをするものが居たらベルドリオも違和感を覚えただろうが、幸か不幸かそんなものは居なかった

誤字等ありましたら教えて下さると幸いです

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