騎士見習いリズ
見切り発車ですが見ていただけれると嬉しいです
僕が騎士に憧れたのはとある幼馴染の影響である
僕の名はリズ、騎士見習いである
騎士学校の劣等生である
それもそのはず、僕は「女」なのだから
騎士見習いには12歳からなれるが僕が受かったのは14歳でそれも12歳の子に混ざって最下位の合格であった
女人禁制のこの場に入れたのは家の力ではあるが僕はそれ以上家の力を使いはせず家名も伏せ「ただのリズ」として平民に近い待遇で実力のみで受かったのだから胸を張れるというものだ
騎士見習いになって同室になった彼との出会いが僕も人生を大きく変えることになるのだが、合格という大きな喜びの前に僕は予感すら覚えていなかった
「ここが僕の部屋、騎士見習いの部屋!」
そっと扉を開けるとシンプルな部屋が目に入った
ベッド、机、椅子が2つずつ鏡のように左右に別れて置かれていた
同室のものは2年前から使っているとの事だからいきなり同室に人が来て不快に思うかもしれないし、喜ばれるかもしれない
が、しかし、部屋には誰もいなかった
(あれ? たしか今日は休養日で部屋にいる人がほとんどなのに、出かけてるのかな?)
そっと荷物を部屋に移し使われていない方のベッドを見つけその横の棚に荷物を収め始める
(そのうち戻ってくるかな?)
鏡を机に置くとボサボサのショートの髪に、日焼けした頬、筋肉は少なめだけれど令嬢に見えないそれにホッとする
(僕はリズ、今日から騎士見習いででも……タイムリミットは15歳の誕生日まで)
そうリズには1年しか時間がなかった
リズは高貴な家の令嬢であった
本来15歳までにはお披露目されるがタイムリミットギリギリまで男として過ごしたいというわがままを許されていた
それはリズの大きな秘密に関係しているのだがリズにとっては今しかない自由を謳歌していた
家では彼女のわがままは数ヶ月で終わると思っていた
何故なら平民に準ずる扱いの上、騎士学校ではあざの出来るような授業も多い
令嬢であるリズにとっては無理だと思っていたのだ
小さい頃から男装はしていたし、男として育てたのは家の方針であったが、それがまさか騎士に憧れる男そのものとして育つとは思わなかった
だから小さなリズが言った一言
「ぼくは、15さいまでにきしになります! だからこんやくもしないのです! みててください、ぼくはりっぱなおんなきしになります!」
この言葉は本気であったとは誰も思わずにこやかに聞いていた
女騎士になるには淑女学校の騎士コースに入るのが一般的である
しかしリズは男として育っていたためそれは不可能であり、騎士の道はないと思われていた
まさか男として騎士学校に入るとは思いもしなかったのである
騎士学校に入れる7歳のころである
幼馴染が騎士学校に入ったのは……
それがリズには大きなショックだった
小さなリズは幼馴染と剣の練習をして騎士になれると思っていたのだ
その数日後、リズは騎士学校に入学手続き案内をもって当主である祖母に謁見していた
「おばあさま、ぼくはきしになります」
その言葉にメイドも執事も顔を青くさせた
当主が許すはずがないし、そういう教育をしたと周りが罰せられる可能性があったからだ
しかし祖母は予想に反しにこやかに孫であるリズを抱き上げた
「ではいくつか約束がありますが出来ますか?」
祖母は騎士学校の案内を指さし言った
「はい!」
きゅっと拳を作り真剣に聞くリズはとても愛らしい姿だったが当主は厳しい条件を突きつけた
「全部で5つあります、いいですね?
ひとつ、15歳までに成し遂げられなければ家に帰ること。
ふたつ、辺境の騎士学校に行くこと。
みっつ、王都に戻る時には騎士学校はやめ家に帰ること。
よっつ、女であると気が付かれたならば家に帰ること。
いつつ、身分を明かさず「ただのリズ」として過ごすこと。
約束出来ますか?辺境に行くと皆には会えませんが……」
大きな目を見開いてリズは当主を見上げた
小さなリズにさえそれが厳しいということはわかっている
涙をその目に浮かべた
「おばあさまにもミーナにもダイヤにもライズじいにもあえないのですか?」
ミーナとダイヤはリズ付きのメイドでライズはリズのお気に入りの庭師である
涙をこぼさないようにフルフルと震えるリズは愛らしく当主はゆっくりと頭を撫でた
「そうです、やめますか?」
しかし否定の言葉は出てこなかった
「…………ぼく、さみしいです、でも、きしになります」
ぽつんと1粒の涙を落としたがリズは泣き出すことはしなかった。
それどころかしっかりと当主を見つめやり遂げたいと言い切ったのである
それから7年、辺境の騎士学校に通い、死にものぐるいで騎士見習いになったのである
思い出に浸っていたリズはいつの間にかウトウトとしてしまいその部屋には影が1つ落ちていた
見ていただきありがとうございました




