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赤いトマトスープ
第一罪『赤いトマトスープ』
夜が明ける前にスープでも飲もうじゃないか。赤いドロドロのスープ。
私はコップに口を付ける。
赤いドロドロ
これを、多くの人はトマトスープと捉えるだろう。
しかし、見方によっては「血のスープ」と捉える人も居る。
それは決して間違った答えではない
実際、私が飲んでいるのは、ただのトマトスープだ。
それなのに何故「間違っていない」のか。理由は解釈の仕方によって異なる。
例えばの話だ。人間には血が通っている。
しかし、何故植物には血が通っていないのだろうか。
同じ地球に生まれた生物ならば、身体のつくりは同じだったとしてもおかしくない。
だから私はトマトの赤い色のことを「血」だと思い込んでいるのだ。
甘くて美味しい、赤いドロドロ。
嗚呼、吸血鬼になった気分だ。
濃厚な香り、味わい、身体中に浸透してくる。
今日もまた、罪を犯してしまった。
『血食罪』
午前3時48分、現行犯逮捕。
私は、甘い香りと罪悪感に包まれながら眠りにつく