夜
「ただいまー」
「「お帰りなさい‼」」
今日は、たまたま手話部の活動が無かったために、舞春は比較的早く帰路に着いた。
……天文部は、自主的に参加しているので、行きたいときに舞春は出向いてる。
玄関の鍵を開けてもらうと、双子の元気な声に迎えられる。
いつも、ホッとする。
まずは、手洗い・うがいをして、舞春は和室にゆっくり向かう。
「ただいま、千夏」
ラヴェンダーの線香を線香立てに、ロウソクから火をつけて立てる。
写真の中の少女をしばらく言葉もなく見つめると、舞春はゆっくりと立ち上がった。
夕飯を食べ終え、食器洗いの手伝いを済ませると、舞春は自室に戻った。
宿題と明日の小テスト等の予習を済ませた。
(まひるには、「真面目か」とツッコまれる)
そして、鞄に明日の授業の分の教科書やノートなどを詰める。
舞春は基本的に教科書は学校に置いていかないタイプだった。
全ての学校関連の事を終えると、パソコンの電源を入れる。
高校生にして、贅沢にマイパソコンかと思う人もいるかもしれないが、舞春はその代り携帯を持ってい無い。
両親に、高校進学を機に祝いとして、パソコンか携帯のどちらかを選べ、と言われたのだ。
舞春は、悩んだ末に、パソコンにした。
みことにこの話しを初めてしたときには、
「パソコンと携帯じゃ、明らかに値段とかが違うでしょうに」
と何故か絶句された。
しかし「パソコンでお願いします」と頭を下げた舞春に、父親は満足そうに頷いた。
後から母親から聞いた話だが、父親は知っていたそうなのだ。
舞春が、密かに……