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プロローグ
また、あの夢。
小さな、小さな手のひらが自分の方に伸ばされ、ゆっくり、スローモーションで……。
「……!」
ぴぴぴぴぴ―。
「おはよー舞春ー」
「おはよー、舞春姉ー」
ぴぴぴぴ、ピッ。
「……おはよう。千秋。千冬」
少女から大人になる頃の女性が、大きく伸びをしてベッドから起き上がる。
そして目覚まし時計を止め、あいさつをしてきた傍らのそっくりな顔をした少女と少年に手を伸ばす。
頭を撫でようとしたその時。
先程の夢の映像のフラッシュバック。
小さな手のひら。
掠めた映像を振り払うかのように。
ポン、とその二つの頭に優しく手を置いた。
「おはよう」
舞春と呼ばれた女性はもう一度、そう繰り返した。
この作品を見つけてくださり、そしてお読みくださり本当にありがとうございます。
わたしの初めての物語の連載作品となります。
心から思いを込めて書かさせていただきます。
どうか拙い作品ですが、ゆっくりと追いかけてくださったら嬉しいです。