4話 スキルが凄スギル
この世界にはスキルというものがあって、大体7歳くらいになると自然と幾つか授かる能力だ。
何故、大体7歳かというと、殆どの国では小学校の入学式で確認するのが一般的だからだ。
発展途上の国や未開の原住民の村のような場所でも、やはり7歳くらいで確認するらしい。
スキル自体はどんな小さな村や町にも1ヶ所はある、技能神様の教会で教えて貰えるのだが、その能力は様々だ。
個人差があって殆どの人が2つ。どんな人も少なくとも1つはあって多くて3つ。0という人は居ない。
シングルスキルホルダー、ダブルスキルホルダー、トリプルスキルホルダーなんて呼ばれ方もする。
極稀に4つ授かる天才も要るらしいが、そんな人は大抵歴史上の偉人だ。
とはいえ、多ければ良いってもんでもないのだけれど……
基本、代々家系で受け継がれるスキルが1つあって、個人の資質なんかで1~2つって感じだ。
資質なのか熟練度なのかは良く分からないが、駆けっこが好きだった子供が、短距離走や長距離走のスキルを授かったり、泥遊びが好きだった子供が、ガーデニングや陶芸のスキルを授かったりする事が多い。
嗜好が先か、資質が先か。
技能神様のみぞ知る。ってね!
その他にも使い込むことでスキルが進化や変化することが稀にある
速球スキルを持っていたプロスポーツ選手が豪速球スキルに進化したり、鉱物加工スキルを持つ熟練の鍛治職人が金属加工スキルに変化して鉱石を加工しづらくなるが金属に特化した。
なんて例があるが、まぁプロとか熟練とかの話だ。
そんな事をつらつらと考える間にも、部長の独り喋りは続いていたようだ。
「僕のスキルには全楽器適応っていうのがあって、大抵の楽器なら、ある程度なら初見で扱いこなせるんだよ」
えっ?スゴい!
全楽器ってチートじゃない!?
「もっとも、そつなく扱えるってだけで、物凄く上手に……それこそ賞を獲るなんて練習を繰り返さなきゃ無理だけどね」
それもそうか……
いやでも、なかには音を満足に出すことさえ難しい楽器なんていくらでもあるし、アドバンテージはスゴいと思う。